砂浜の周辺で咲くハマナスは、海水にさらされても枯れることはありません。
塩によって枯れないために、小さな毛やトゲがたくさん生えています。
茎や枝にはトゲがありますが、人を魅了する香りと華やかな花が咲きます。
目 次
ハマナスとは
バラ科の低木で、海岸などの砂地に生息する植物です。
群れを成して咲くこともあますが、街路樹や公園の植木などとしても栽培されています。
原産地は日本、中国、朝鮮半島などで、温帯から冷帯にかけて幅広く分布。
特に多く自生しているのが北海道で、本州の場合、日本海側は青森から島根県までの浜辺、太平洋側は青森から茨城県の浜辺となっています。
太平洋側は茨城県より南で自生しない理由は、日本海側に比べ、砂浜が少ないことです。
樹高は1.5m程度の高さにまで成長します。
茎や枝には細かな鋭いトゲと、小さな毛でおおわれます。
砂浜など沿岸部に自生するため、植物が塩にやられないために毛やトゲが生えているそうです。
6から8月頃に濃いピンクや白、赤色の花を咲かせます。
花びらのフチが波打つような形をしており、中心のおしべがたくさんつくのが特徴です。
秋ごろには、トマトのような見た目の実をつけます。
わずかな甘味と酸味があり、種が多いです。
ハマナスの名前の由来
「浜茄子(ハマナス)」という名前がつけられていますが、私たちが食べるナスからつけられた名前ではありません。
元々は「浜梨(ハマナシ)」という名でした。
浜辺で育つ植物で、梨が実る時期に、梨のような実がつくことが由来です。
いつしか「ハマナシ」から「ハマナス」へと変化したと言われています。
西洋名(英名)は「Ramanas rose(ラマナス ローズ)」や「Rugosa rose(ルゴサ ローズ)」、「Japanese rose(ジャパニーズ ローズ)」などです。
「Rosa rugosa(ロサ ルゴサ)」が学名です。
「Rosa」は、ギリシャ語でバラという意味がある「rhodon(ロドン)」や、ケルト語で赤の意味がある「rhodd(ロード)」が語源と考えられています。
ハマナスが誕生花となる日にち
7月5日、9月1日、9月7日
ハマナスの花言葉
「旅の楽しさ」「豊かな香り」「あなたの魅力にひかれます」などの花言葉があります。
砂浜で海水にさらされるような厳しい環境でありながら、色鮮やかな花を咲かせます。
その様子から、厳しい環境を楽しんでいるように見えるため、「旅の楽しさ」とつけられたそうです。
香水の原料としても利用されるハマナスは、バラのように良い香りがします。
香りで人を魅了するほどであることから、「豊かな香り」や「あなたの魅力にひかれます」などの花言葉がつきました。
ハマナスの色別の花言葉
花色に赤やピンク、白などがありますが、色別の花言葉はないようです。
ハマナスの怖い花言葉
美しい花や良い香りが魅力的で、花言葉には、花の魅力がたくさん詰まったものがつけられています。
しかし、花が咲くと2~3日程度ですぐに枯れてしまう特徴から、「悲しくそして美しい」という哀れな印象の花言葉もあります。
ハマナスは大きく花開き、存在感のある華やかな花ですが、とてもはかない命です。
その様子を哀れみつけられたと言われています。
ハマナスはさまざまなものに利用される花
ハマナスは街路樹や公園の植木として利用されていますが、その他にも香水の原料や、薬などに加工され親しまれます。
【香水】
花に香りが強く、花からとれる精油は血流促進や血管拡張作用などがあると言われます。
かつては北海道で、精油の採取が行われていましたが、今は輸入品が一般的です。
【果実】
果実はビタミンCが多いと言われています。
ビタミンC以外にも、カロテンやタンニンなどがあり、そのまま食べれば滋養強壮効果が得られます。
甘味が弱く酸味があるため、ジャムや薬用酒などに加工されることが多いです。
中国ではお茶に入れることもあります。
【薬】
花は生薬として利用されます。
つぼみを乾燥させたものを「玫瑰花(マイカイカ)」と呼び、漢方薬として今でも使われる薬です。
ストレス性の胃痛や下痢などに効果があるとされ、お湯やお茶に混ぜて服用されます。
アイヌ民族は腎臓に効き目があるとして飲んでいたそうです。
日本が原産の花であり、北海道に多い花であることから、北海道の花とされています。
さらに北海道では、多くの市町村で市町村の花にも指定されるほどです。
北海道以外では、日本海や太平洋に面している場所で、市町村の花とされているようです。
トゲがあり花に直接触れることは難しいですが、人を惹き付ける良い香りがします。
砂浜を訪れる機会があれば、ハマナスの花を探してみるのも良いですね。