秋に黄金色になり風でなびく様子は、誰もが知っている風景でしょう。
どこにでも生息している花ですが、近年はお月見で飾られることも少なくなっています。
昔はお月見のお供え物として、かかせない花でした。
目 次
ススキとは
イネ科ススキ属の多年草です。
日本や中国、朝鮮半島、台湾などが原産で、どんな場所でも生息します。
非常に丈夫で、暑さ寒さにも強いです。
1~2m程度の草丈まで成長し、穂は20~30㎝程度。
夏ごろに赤茶色のような小さな花がつきます。
花が咲いたのち、9月ごろに種子ができ、その周りに白い毛が生えます。
穂が風になびかれると、種子が飛んで新たな場所に芽吹くのです。
基本的に夏に花が咲きますが、園芸種によっては5月から11月と長い期間が開花期です。
イネ科の植物であるススキは、アレルギー症状を示すことがあります。
イネのアレルギーを持っている人は気を付けましょう。
ススキの名前の由来
「芒(ススキ)」、「薄(ススキ)」という名前の由来は、複数あると言われています。
1つにススキが、真っすぐ上に向かって茎を伸ばすことから、つけられたという説。
また、丈夫で成長が早いため、すくすく伸びるため名づけられたそうです。
神様を招く「神楽」で、ススキが使われていました。
そのことから、ススキを「清らかな禾」とし、名前につながったともされています。
ススキという名前が良く知られていますが、他の和名もあります。
穂の形が動物のしっぽに見えることからつけられた「尾花(オバナ)」や、屋根の材料として用いられたことで名づけられた「萱(カヤ)」、「茅(カヤ)」です。
西洋名は「Silver grass(シルバーグラス)」、「Eulalia(エウラリア)」です。
白色の花穂が、光に当たると銀色に輝いているように見えることから、「Silver grass」と名づけられています。
ススキが誕生花となる日にち
9月15日
ススキの花言葉
「活力」「勢い」「生命力」「心が通じる」これらがススキの花言葉です。
花の繁殖力が強く、成長が早いのも特徴。
また、海外では繁殖力が強すぎることから、駆除される植物です。
ススキのこのような特徴から、「活力」「勢い」「生命力」などの花言葉がつきました。
たてに長く伸び、細い茎が、スタイリッシュな印象に見えます。
その茎の中心は空洞になっているため、「心が通じる」という花言葉になったそうです。
ススキの色別の花言葉
夏に赤茶色の花をつけますが、それ以外の花色はありません。
そのため、色別の花言葉はないようです。
ススキの怖い花言葉
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざがあります。
これは、「疑い深くなっているときは、ただ風でなびいている枯れたススキも、幽霊に見間違えてしまう。」という意味です。
このようなことわざから、怖い印象をおぼえるススキですが、花言葉には怖いものはありません。
ススキの歴史
日本原産のススキは歴史も古く、万葉集にも登場することから、奈良時代の初期にはすでに人々に親しまれていたとされています。
秋の七草の1つであるとされる理由は、山上憶良が万葉集で詠んだ句に由来します。
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また 藤袴 朝顔の花」
この句で秋の七草を詠んだそうです。
ハギと一緒にススキをお月見で飾る理由は、イネの代わりと言われています。
お月見は平安時代ごろから行われていた行事です。
五穀豊穣を願うお祭りで、神様に収穫物をお供えします。
その際、イネもお供えしたいところですが、収穫期をむかえていないことから、イネの代わりとして、ススキを利用したそうです。
また、神霊が寄り付くものとされる依り代とされていたススキは、空洞になっている茎に神霊が宿るとされていました。
ススキは神様が降り立つために、必要な花であったとは知りませんでした。
近頃はお月見にススキをお供えする家庭も、少なくなったでしょう。
たまには、ススキを飾って、風情を感じるのも良いかもしれませんね。