優雅に水面に浮かぶ花の下には、食卓に並ぶレンコンがあります。
仏教ではハスの花が蓮華座とされています。
ハスの花は仏教だけでなく、エジプトの神話とも深い関係がありました。
目 次
ハス(蓮)とは
熱帯・温帯アジアやオーストラリア、北アメリカなどが原産のハス。
日本には弥生時代の後期に、生息していたと推定されています。
ハス科ハス属の多年草で、水生植物となります。
葉っぱは丸く、水面に浮かびます。
表面は撥水性があり、水の粒が楽しめる葉っぱです。
花には特徴があり、花の中央に花托(かたく)という器官ができます。
花托は、茎が厚くなった部分で、それを中心に花びらがつき、中から種子がとれます。
花は7月から8月に見ごろをむかえ、花色はピンクや白などです。
花を見るには時間帯が重要。
早朝に開花し昼には閉じてしまうため、花を観察したい場合は、朝早くに見に行きましょう。
水の底である土の中に根をはり、塊茎(かいけい)を作ります。
塊茎とは、地下で茎が大きくなり、かたまり状になったものです。
ハスの塊茎は、良く知られている蓮根(レンコン)です。
ハス(蓮)の名前の由来
「蓮(ハス)」という名前は、和名で花托の形から名づけられました。
ハスの花托は、蜂の巣のように、いくつも穴が開いています。
そこから、ハチスと呼ばれるようになり、いつしか「ハス」という名前になりました。
日本では別名がたくさんあり、「不語仙(フゴセン)」や「蓮華(レンゲ)」、「池見草(イケミグサ)」などです。
西洋名は「Lotus(ロータス)」です。
スイレンの花のように水に浮かび、葉っぱが丸いことから、エジプトに自生する「Nymphaea lotus(ニンファエラ ロータス)」から名づけられました。
ハス(蓮)が誕生花となる日にち
7月3日、7月8日、8月15日、 9月26日
ハス(蓮)の花言葉
「休養」「雄弁」「神聖」「清らかな心」などが花言葉です。
西洋の花言葉には「elpquence(雄弁)」とつけられています。
「休養」という花言葉は、朝早くから花を咲かせ、昼には閉じてしまう習性からつけられました。
「神聖」「清らかな心」は、ハスの花が仏教で神聖な花とされていることに由来するそうです。
ハスの色別の花言葉
ハスはピンクや白色のイメージですが、青や黄の花色もあり、それぞれ花言葉がつけられています。
ピンク色は「信頼」
仏教の絵画に描かれるハスはピンクで、神様からの深い愛情をイメージできることからつけられたと考えられています。
白色の花言葉は「純粋」「潔白」
真っ白で汚れのない花が由来です。
黄色は「休養」
ハス全体の花言葉と同じものがつけられています。
黄色のさわやかな花をみて、体を休めてほしいという意味があるのかもしれませんね。
青色は「清廉潔白」
自然界に青色のハスはありません。
仏教ではハスが描かれるときは青色もあります。
これは、「清廉潔白」を意味するそうです。
ハスの怖い花言葉
神聖な花であるとされるハスの花ですが、少し悲しい花言葉がつけられています。
「離れゆく愛」や「estranged love(離れゆく愛)」です。
花が咲く期間が短いことから、はかない印象を与えるためつけられました。
ハスの言い伝え
ハスの花言葉の1つである「雄弁」は、ある神話が由来となっていると考えられています。
エジプトの神話で、オリシスは豊穣の神と言われ、農民から期待されていました。
オリシスは小麦などをたくさん実らせ、農民からの支持も高かったそうです。
そんなオリシスの活躍を良く思わなかった弟に、殺されてしまいました。
オリシスの死を嘆き悲しんだのが妻であるイシスです。
イシスは自らの魔力を利用し、オリシスの復活を企て成功させます。
復活したオリシスは「冥界の王」に位置づけられ、豊穣の神から死者の審判をする神へと変わりました。
ハスの上に座り、42個の質問を死者に問い審判をしたそうです。
復活を遂げたいつしか雄弁なオリシスになりました。
また、エジプトでは、ハスの花を復活の象徴としています。
仏教ではハスに座る仏陀の姿が有名で、ハスのことを「蓮華座(れんげざ)」と言います。
土の中に根をはり、その中から水面に向かって茎を伸ばすハスは、葉っぱや花に土がつくことはありません。
その様子から汚れのないものの象徴とされ、仏教でよく描かれるようになったそうです。