鈴のような形の花をいくつもつけて、可愛らしく咲くすずらん。
野山でひっそりと咲いているのを、見たことがある人も多いかもしれません。
そんなすずらんには、さまざまな言い伝えがありました。
目 次
すずらんとは
すずらんはヨーロッパや東アジア、北アジアなどにさまざまな場所に自生しています。
ヨーロッパ原産のすずらんは、花や草の背丈が大きく、ドイツスズランと呼ばれます。
それに対し、日本や中国、朝鮮半島が原産のすずらんは、背丈が小さくこじんまりと花を咲かせます。
ドイツスズランは、香りがよく鉢植えなどで流通しています。
日本原産のすずらんは、野山など日陰の場所で自生していることが多いです。
また、鉢植えなどで流通することも少ないです。
花が開くのは4月から5月ごろで、春の訪れを告げる花ともされています。
花色は白が一般的ですが、ピンクや紅色などの花色があります。
すずらんは有毒植物とされ、含まれる毒物はコンバラトキシンやコンバラマリンなどです。
すずらんに含まれる毒を摂取すると、嘔吐や頭痛、心不全、心臓麻痺などの症状があらわれます。
多量接種した場合には、死に至ることもあるので注意が必要です。
すずらんの名前の由来
すずらんの名前の由来は、1つの茎にいくつもの花をつける姿が、ランに似ていることと、花の形が鈴のように見えることから名づけられました。
すずらんの西洋名は「Lily of the valley(リリー オブ ザ バリー)」です。
「valley」には、谷という意味があります。
ユリのような白い花が、谷の合間に花を咲かせることからつけられました。
また、学名の「Convallaria majalis(コンバラリア マジャリス)」です。
こちらも、花が谷の合間に咲くことが由来です。
「Convallaria」はラテン語由来で、谷という意味の「convallis(コンバリス)」とユリという意味の「leirion(リリオン)」を複合したものです。
「majalis」には、5月に花開くという意味があるそうです。
また、すずらんは、「君影草(きみかげそう)」とも言われます。
これは、野山でひっそりと、花が咲くことからつけられたのでしょう。
すずらんが誕生花となる日にち
5月1日、5月2日、5月5日、5月24日、5月28日
すずらんの花言葉
「幸福の再来」「希望」「純粋」「あふれ出る美しさ」「謙遜」などがすずらんの花言葉です。
西洋の花言葉は「return of happiness(再び幸せが訪れる)」「purity(純粋)」「sweetness(優しさ)」、「humility(謙遜)」です。
「幸福の再来」、「希望」、「return of happiness(再び幸せが訪れる)」は、すずらんが4月から5月ごろに咲き、春の訪れを告げる花とされることに由来します。
寒く厳しい冬から、暖かな春が訪れ、喜びや幸せが感じられるからです。
「純粋」、「purity(純粋)」、「sweetness(優しさ)」は、すずらんの花が、聖母マリアの花に関係があることからつけられたそうです。
また、すずらんにはフランス語の花言葉もつけられています。
「Tout le bonheur du monde(みんなの幸せ)」や「retour de bonheur(幸福の再来)」です。
フランス語の花言葉も、すずらんの可愛らしい見た目に合ったものがつけられていますね。
すずらんの色別の花言葉
一般的に良く知られている白色のすずらんは、「幸福の再来」や「純粋」「希望」「約束」などの花言葉がつけられています。
ウエディングブーケなどでも利用されるすずらんにピッタリの花言葉ばかりですね。
ピンク色のすずらんは「可愛らしい」「愛らしい」という花言葉がつけられています。
ピンク色がよりすずらんの可愛らしさを引き立てているため、この花言葉がついたのかもしれませんね。
すずらんの怖い花言葉
すずらんはウエディングブーケなどにも使われる良いイメージの花言葉が多いです。
下向きに咲き、花全体に毒を持つことから、怖いイメージの花言葉があると思われがちです。
しかし、花言葉は良い印象のものしかありません。
すずらんの言い伝え
すずらんの花にはさまざまな言い伝えがあります。
「純粋」という花言葉の由来となった聖母マリアとの関係もその一つです。
聖母マリアは、イエスキリストの母のことです。
キリストがはりつけの刑に処されるときに、聖母マリアは、涙を流して悲しみました。
その涙が滴り落ちた場所から、すずらんの花が咲いたそうです。
このことから、すずらんの花言葉には、聖母マリアを思い起こさせるものがつけられています。
また、すずらんの花はギリシャ神話とも深い関係がありました。
ギリシャ神話の一つ、セントレオナールという森を守る神様のお話です。
セントレオナールは、森を守る神様ということで、守護神レオナードとも呼ばれます。
セントレオナールが守っている森の中で、毒を持つ竜に遭遇しました。
森を守る使命のため、セントレオナールは3日間夜通し戦い続けます。
3日間戦い続けた翌日の朝、ついに毒を持つ竜を倒すことができました。
しかし、セントレオナールも、体に傷を負い倒れてしまいます。
傷口から流れ出た血液が地面に落ち、そこから綺麗なすずらんが花開きました。
セントレオナールの行動を称えた森の妖精たちが、すずらんの花を咲かせたのです。
綺麗に花開いたすずらんは、セントレオナールの心を癒したそうです。
すずらんは小さくかわいい花を咲かせます。
その見た目にあわせた、素敵な花言葉がいくつもつけられています。
ウエディングブーケはもちろん、プレゼントにも申し分ない花です。