「10月１日 都民の日」
■はじめに
東京都のシンボルマークはてっきりイチョウの葉をデザインしたものとばかり思っていましたが、TOKYOの頭文字「Ｔ」を図案化したそうです。
おなじみの「亀の子マーク」の紋章のほうに親しみを感じます。
目 次
都民の日とは
10月１日は東京都が1952（昭和27）年に制定した「都民の日」になります。
日付はそれまで「自治記念日」とされていた10月１日を「都民の日」が引き継いだためですね。
■都民の日の意味と由来
明治時代の地方制度の整備によって、1889（明治22）年５月に東京府の中に東京市が誕生しました。
しかし、東京、京都、大阪の３市は市制特例によって、市民の市政参加は大きく制限され、国が任命した府知事と書記官が市長と助役の業務を担っていました。
おまけに市役所の建物や市の職員もいませんでしたが、市政参加を求める市民運動の高まりによって市制特例は廃止され、市議会で選ばれた市長が誕生し、市役所も新設されました。
これが1898（明治31）年10月１日で、新たな東京市の誕生を記念し、1922（大正11）年に同日を「自治記念日」に制定、その後の1952年に「都民の日」と改称されました。
■都民の日のイベント
毎年「都民の日」には東京都美術館や上野動物園、六義園など、都内の美術・博物館、動物園、公園・庭園が無料で開放され、都民ではなくてもこの恩恵にあずかれます。
また、消防博物館や水道歴史館、水の科学館、奥多摩水と緑のふれあい館、虹の下水道館などで記念行事が開催されています。
都民の日の雑学
▽「山の手」と「下町」
よく「山の手」「下町」と言われますが、これは行政区分ではないので、明確な境界の線引きはされないため、23区のどこが「山の手」なのか「下町」なのかわかりませんね。
東京新聞Webサイトの地域版では、目黒区や世田谷区、渋谷区などが「山手版」ですが、この中には北区や板橋区も含まれていて、筆者には少し違和感もあります。
「したまち版」は台東区をはじめ墨田区、荒川区、葛飾区などで、これは納得ですが、文京区の「下町」というのもどうでしょうか。
ちなみに千代田区、中央区、新宿区などは「都心版」です。
一般的なイメージとしては「山の手」は裕福・上品・緑、「下町」は庶民的・情が厚い・水辺といったところでしょうか。
そもそも「下町」の語源は「御城下にある町」で、京橋や日本橋、神田周辺を指していました。
一方の「山の手」は麹町、四谷、本郷など、武家屋敷や神社、寺院などで占められた地域で、江戸城の西側は丘陵地なので「山の手」と呼ばれたそうです。
ところが、西へと広がった東京の発展によって、「山の手」と呼ばれる地域もだんだん西へとずれて、農村だった世田谷や杉並も今や「山の手」と呼ばれるようになっています。
▽都市の人間は冷たい？
かつてドイツの社会学者ゲオルク・ジンメル（1858～1918）は「都市の人間が冷たいのは抑制されているため」と結論づけました
たしかに都会に比べ、田舎の「ムラ社会」は助け合う人間関係が築かれ、人情味豊かな社会と言えます。
東京のような大都市で暮らすには時間厳守、正確性など徹底した合理性が求められ、論理的かつ知的な行動でなくてはならず、周囲との摩擦を避けるのが賢い選択とも言われます。
そのために都会人は自己の感情や他人への関心が抑制されることになります。
また、都会には言語をはじめ宗教、食文化など異なる環境で成人した人たちが集まっていることから、「ムラ社会」のように同じ価値観を共有することは不可能です。
周囲との摩擦を避けるには自己の価値観を妥協させる必要もあり、場合によっては自己のアイデンティティの否定にもつながってしまいます。
そんな事態を回避するためには、お互いの価値観に触れるような関係を避け、周囲とある程度の距離を保つ必要があることで、冷たいという印象を与えてしまうとジンメルは説いています。
ただ、すべての都会人がそう割り切れているはずもなく、心を病んでしまう若者も多いようです。
■最後に
あの「べらんめえ口調」も芝居や映画の中のセリフだけで、最近はあまり「江戸っ子」という言葉も聞かなくなりました。
「江戸っ子」と呼ぶには江戸出身が３代以上続いていなければならず、しかも日本橋、永代橋、万世橋に結ばれた三角地帯の中でなければ純粋の「江戸っ子」と言えないそうです。
もちろん明治以降に東京へ移住して３代以上経たとしても、もはや「江戸っ子」と呼ばれる資格はないため「東京っ子」になりますが、「江戸っ子」以上に「東京っ子」なんて言葉は聞きません。
「江戸っ子」は絶滅危惧種です。
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