▪はじめに
私たち日本人は、水道から安全な飲み水を簡単に手に入れることができます。
そんな当たり前となっていることは、じつはとても重要で世界でも珍しいことなのです。
このことを知り、飲み水の重要性を考え直す日として制定されたのが「飲み水の日」という記念日です。
目 次
飲み水の日とは
飲み水の日は、毎年6月6日にあります。
この記念日は、1990年(平成2年)に東京都薬剤師会公衆衛生委員会によって制定されたものです。
▪意味
飲み水の日には、安全な水の重要性について再認識するという意味があります。
また、薬剤師の仕事は薬だけでなく健康に関わりのあるものに貢献していくことも重要であるとして、毎年この日には東京都の水道水の水源として約7割をまかなっているとされる利根川などの水質検査をおこなっています。
▪由来
飲み水の日は、前日の6月5日が「世界環境デー」であることに由来して、6月6日に制定されました。
▪イベント
飲み水の日に関するイベントは残念ながら見つけることができませんでした。
飲み水の雑学
<日本は水道の水がそのまま飲める珍しい国>
私たち日本人は、当たり前のように水道水をそのまま飲んでいますが、実は水道水をそのまま飲み水として利用している国はとても珍しいのです。
現在、水道水を飲み水として利用して国は、日本・アラブ首長国連邦・オーストラリア・ニュージーランド・アイルランド・アイスランド・フィンランド・スウェーデン・ドイツ・フランス・オーストリア・スロベニア・クロアチア・南アフリカ・モザンビーク・レソトの16ヶ国であるとされています。
しかも、これらの国の中でも地域によっては水道水をそのまま飲むのではなく、煮沸することや市販されているミネラルウォーターを利用することを勧めているところもあるようです。
安全に飲める水道水を提供するためには、高度な浄水設備あることや水源となる水の水質が良質であることなどの条件が必要です。
ですから、水道は普及していても浄水設備がそれほど高度でなかったり水源の水の水質が飲み水に向いていなかったりして先進国でも水道水をそのまま飲むことができない国もあるのです。
一方、北欧や日本の地域によっては水質が良く環境も良いので「安全に飲めてしかも美味しい水」が水道水として提供されているそうです。
また、大きな国になると広大な国土の全ての地域に安全に飲める水を提供しようとすると莫大な費用がかかる場合もあります。
その費用のことを考えると、市販されているミネラルウォーターを購入した方が安全で経済的であることから、水道水を飲める水として提供していない国もあるようです。
<日本の上水道が発展したのはコレラが大流行したから>
ではなぜ、日本の水道水は安全に飲める水になったのでしょうか?
これには、幕末から明治時代に大流行したコレラが大きく関係しています。
日本の水道の歴史は古く、日本初の水道は江戸時代に誕生したといわれています。
江戸時代前は、川や井戸で汲んだ水を生活用水として使っていましたが、徳川家康が江戸に町を作ることを決定した際、飲み水や生活用水を確保するために小石川上水を家臣の大久保藤五郎に命じて作らせたのが日本初の水道だとされています。
その後、江戸の人口が増えていったことに伴い、水道も発展していきました。
明治時代に入ると、欧米を手本にした街づくりをするようになりましたが、水道の整備はあまり進んでいませんでした。
そのため、水路は腐食していき水質が悪化していきました。
また、江戸時代に水道は作られたものの、ろ過をする浄水設備は無かったので汚水が上水に流れ込み、衛生環境がどんどん悪化していったため、コレラが大流行してしまう大きな要因となってしまったのです。
コレラは菌が混じった水を媒介にして感染する病気なので、上水道が整備されておらず汚水の混じった水を使っていた当時の日本では、コレラが大流行するのは当たり前の状況でした。
コレラが日本で最初に流行したのは幕末の1822年(文政5年)で、中国・朝鮮半島を経て対馬経由で下関に上陸し、大阪や京都にまで広がりました。
この時の死者は十数万人に及ぶとされています。
そして、1858年(安政4年)から3年に渡って日本全国で大流行した「安政コレラ」では、28万人~30万人、1862年(文久2年)に流行したコレラでは江戸だけで7万3000人、
1879年(明治12年)と1886年(明治19年)のコレラの大流行で10万人を超える死者が出てしまいました。
1883年(明治16年)にコレラ菌が発見され、コレラが汚れた水から感染することが分かります。
そして明治19年のコレラの大流行をきっかけに、日本政府は東京を中心に水道の整備を急速に進めていきました。
その後も何度か日本国内でコレラが流行しましたが、水道の整備と浄水技術が進んだことで徐々に患者数・死者ともに減少していき、ついにはコレラの撲滅に成功したのです。
その後も日本の水道は発展を続け、浄水設備の向上や水質管理を厳しく行っていることや、またもとも日本の国土が大きくなく水が豊富で適度に雨が降り、ダムが作りやすい地形であることなどから、日本の水道水は世界一安全な水を十分に提供される国となりました。
▪まとめ
日本の水道水が世界でも珍しいそのまま飲める水として提供されているのは、過去の起きたコレラの大流行によるものだということに驚きました。
飲み水の日には、過去の人たちの大きな努力や現在も続いている検査や技術開発によって現在の私たちが当たり前のように安全でおいしい飲み水を水道から飲めるようになったことを見つめ直し、私たちにできることを考えてみてはいかがでしょうか。
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