沖縄には、ウガンブトゥチという行事があります。
ウガンブトゥチとは御願解きのことなのですが、いつどのような事が行われるのか、意味や由来も併せて紹介します。
目 次
ウガンブトゥチ意味や由来は?
ウガンブトゥチ(御願解き)とは、一家の守護神であるヒヌカンが天に帰る日のことです。
旧暦の12月24日にあたり、ヒヌカンを心地よく送り出すために家を清め、1年間の無事を感謝し、この日をもってウガミ(御願)を解くという行事です。
ヒヌカンとは「火の神」のことで、古代の人々は火が燃える様(さま)に恐れおののき、そこには神がいるとされ、沖縄でも古くから家を守ると信じられてきました。
そして、ヒヌカンが天に帰った時には、玉皇大帝(ぎょっこうたいてい)にその家庭で一年間どんな事があったのかを報告すると言われています。
玉皇大帝とは、中国の道教における事実上の最高神で、天界の支配者であり、その下の地上・地底に住むあらゆるものの支配者でもあります。
火を使うカマドは、食事を作る場所であり日常生活に関係深いということで、中国では道教の影響を受け、カマドの神様は玉皇大帝に使える神とされてきました。
沖縄のヒヌカン信仰と、この中国のカマドの神の信仰とが融合して、ウガンブトゥチが生まれたと考えられているのだそうです。
ちなみに天へ昇ったヒヌカンは、旧暦の1月4日に再び地上へ降り立ち、また火のある所へ鎮座して約一年間、家庭を見守ります。
この日をヒヌカンウンケー(火の神迎え)と言います。
ウガンブトゥチ2023年の日にちはいつ?
ウガンブトゥチは、旧暦の12月24日に行われます。
新暦になってからは毎年日にちが変わるのですが、2023年は1月15日(日)となります。
新暦ではお正月は終わっていますが、旧暦の年末年始にヒヌカンも天へ里帰りすると言ったイメージですね。
この期間は、地方によって若干異なるのだそうです。
ウガンブトゥチの日に行われる行事
沖縄の家庭には、台所に白い香炉や花瓶等といった、ヒヌカンの為の祭壇が設えられていることがあります。
今は少なくなってきましたが、15世紀以前の琉球王国成立からあった神祀りの形式なのだそうです。
台所という場所ということや、琉球では女性が神官を務めていたという土地柄もあってか、ヒヌカンは女性が管理することとなっています。
地域によって家庭によっても多少違いはありますが、ウガンブトゥチの一般的な手順を紹介します。
まず、ウガンブトゥチを始める前に祭壇の掃除から始まります。
そして常設しているものも含め、以下のものを準備します。
[水]
毎日朝に、湯呑みなどに新鮮な水を入れます。
[塩]
高坏か平瓮に盛ります。
[酒]
盃に泡盛等を注ぎます。
[御香炉](ウコーロー)
当日に灰を掃除します。
[常緑樹]
花瓶にチャーギ、榊、クロトン等を飾ります。
[平御香](ヒラウコー)
線香6本がひとまとめになった板状のもののことで、これを2枚重ね御香炉に立て、手前には縦半分に折った3本分のものを立てます。
全部で15本分です。
[御供え]
果物やウチャヌク等を御供えします。
ウチャヌクとは、大中小の白餅を3段重ねにし、これを3セット用意したものになります。
[御仏供](ウブク)
炊きたてのご飯を円錐形に盛ったもので、3杯用意する場合もあるのだそうです。
これは、ヒヌカンの口を粘らせて悪いことを告げ口されないようにという意味があるのだとか。
ちなみに旧暦1日と15日にも毎月、御仏供を御供えする習慣があるそうです。
祭壇の準備が出来たらグイス(拝詞)を唱え、ヒヌカンにウガミ(御願)を行います。
台所だけでなく、トイレや外の門、玄関等でも行うご家庭もあるそうです。
言い回しは様々ですが、一年間の出来事の報告とお礼、良いことだけ報告してほしいという願い、また一年間よろしくお願いしますといった内容です。
そして、祭壇の上にナナハシ(神が天へ昇るために使うとされる)をかけたり、線香を7本並べて階段状になるように端から順番に火を付けていき、ヒヌカンを天へ見送ります。
ヒヌカンウンケーにはウガンブトゥチと左右逆向きの手順で線香7本に火を付け、ヒヌカンを迎え入れるところもあるようです。
ウガンブトゥチは地域でというよりも、家庭の中での行事といった印象を受けました。
ヒヌカンについては他の家で拝むことはなく、各家庭に自分たちだけの神様をお祀りしている形であり、沖縄の生活の中に深く根付き習慣化されていることが分かります。
このヒヌカンの文化は、祈りを大切にする沖縄の象徴と言えるかも知れませんね。