「5月1日/扇の日」
■はじめに
初めて彼女の浴衣姿を見た花火大会の夜、帯にさした薄紫の扇子から日本の伝統文化の香りが漂うようで、それが彼女の優美さを一層際立たせている。
そんな想い出があればいいのにな…。
目 次
■扇の日とは
1990年に京都扇子団扇商工協同組合が、5月1日を「扇の日」として記念日に制定しました。
なぜこの日かと言えば、例によって5と1で「こい=恋」ですが、これは源氏物語の中で、女性が光源氏に扇を贈ったことにちなんでいます。
■扇の日の意味
昔は高貴な身分の人に使用が限られていた扇子は、鎌倉時代に入ってからは茶道や舞踏などを通じて、庶民にまで広がって行きました。
また、近年では暑さ対策だけではなくて、デザイン性の重視によって、インテリアやファッションの一部ともなっています。
そうした生活の中の扇を、もっと身近に、もっと見直すきっかけになればという願いが込められた扇の日です。
■扇の日の由来
「心あてに.それかとぞ見る白露の.光そへたる.夕顔の花」
この歌こそが扇の日の由来、その最初の一滴です。
光源氏が17歳の夏、ある侘しい屋敷の垣根に咲く花に目が留まり、ひと枝を望んだところ、その屋敷の女主人「夕顔」が、扇に載せた夕顔の花を届けます。
源氏がふと、香にたかれた扇に目をやると、そこには上品な字で、その歌が書かれていました。
「白露に光を添えた夕顔の花と見紛うようなあなたは、もしかすると光源氏の君でしょうか」
そういう意味の歌です。
その歌が書かれた扇と、美しい女性「夕顔」が、扇の日の由来です。
ちなみに、源氏の返歌は、
「寄りてこそ.それかとも見め黄昏れに.ほのぼの見つる.花の夕顔」
というもので、意味は
「すぐ近くに寄って初めてそうと見極めがつくものなのに、黄昏の薄明りの光でぼんやり見た夕顔の花を、この源氏であるなどとはわからないはずである」
■扇の日のイベント
この日に限ってというイベントは見当たりません。
5月の京都は葵祭、三船祭がありますからね。
扇の日とは関係ありませんが、毎年8月4日には中禅寺湖で扇の的弓道大会という神事が開催されています。
湖に浮かぶ小舟の扇を射抜いた那須与一の故事にちなんだものです。
でも、扇が主役とは言えませんね。
■扇の日の雑学
▽扇子のマナー
風や香りを不快に感じる人もいますから、扇ぐ時はまず近くに人がいないことを確認しましょう。
扇ぎ方も横からではなく、顔の下からゆっくりと風を送ります。
扇はパタパタと音を立てて使うものではありません。
もうひとつ、女性は手の甲が相手側に向くようにするのが正しい持ち方で、落ち着いた優美な雰囲気を醸し出すことができますよ。
▽扇子の発祥
時期ははっきりしませんが、中国から伝わったうちわが、持ち運びしやすいよう日本で扇子に姿を変えました。
また、平安時代、紙は貴重品なので、木簡と呼ばれる木片に書いていましたが、これ1枚では書き切れないために、木簡を扇型に重ねて使っていたんです。
▽落語の扇子
落語では扇子がとても重要な役割を演じていて、ありとあらゆる物に変化します。
箸、筆、タバコ、徳利、刀、釣り竿…等々。
また扇子で音を立てて、効果音としても使います。
ひとつの話の中で、扇子がいくつの役割をこなすのか、数えてみるのも楽しいかもしれませんね。
■まとめ
日本の伝統工芸品である扇子は、「和」の必需品として、若者や外国人にその魅力が見直されつつあります。
その流れを後押しするように、最近は自分だけの一点物を作れる体験型の観光としても広く展開しています。
伝統と文化、この両面とうまく折り合いながら、扇子は「和」の担い手の華であり続けることでしょう。
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