「1月26日 文化財防火デー」
■はじめに
文化財は歴史の風雪に耐え、今日に至っています。
火災はその長い歴史を根こそぎ奪い取る悪魔のような存在です。
遠い過去からの遺産を未来へ継承するため、今、私たちは文化財をどう火災から守って行けばいいのでしょうか。
目 次
■文化財防火デーとは
1949(昭和24)年1月26日早朝、現存する世界最古の木造建築である奈良の法隆寺金堂で火災が発生、世界的に有名な壁画の大半が焼失し、また、同年2月には愛媛の松山城の筒井門など3棟、6月には北海道の松前城天守など2棟が焼失しました。
これらを教訓として、1955(昭和30)年に、文化財保護委員会(現文化庁)と国家消防本部(現消防庁)が、法隆寺火災のあった1月26日を文化財防火デーに制定しました。
■文化財防火デーの意味と由来
法隆寺の火災は国民に衝撃を与えたばかりでなく、続く2件と合わせて、半年の間に当時の国宝が3件も火災に遭ったことになり、ロンドン・タイムスの東京支社長に「日本人は歴史的財産の管理がひどく杜撰でデタラメ」と世界中に打電される有様でした。
当然、国民の間でも、文化財の保護の必要性が論議されるようになって、1950(昭和25)年の文化財保護法制定につながって行きます。
■文化財防火デーのイベント
制定初年度から今日まで、毎年のこの日は全国津々浦々で、文化庁、消防庁、教育委員会などが連携し、防火訓練を実施しています。
文化財防火の趣旨から、ほとんどは神社やお寺で行われ、保育園児の参加や雪景色のライトアップなどによって、国民の文化財保護に対する意識高揚を図っています。
■文化財防火デーの雑学
▽文化財の種類
文化財と一口に言いますが、その指定の種類は多岐に渡っていて、一般の人がすべて理解するのは無理に思えますね。
駆け足になりますが、ざっと全体を見渡してみましょう。
文化財保護法の分類で見ると、
・建造物や美術工芸品などの.「有形文化財」
・演劇、音楽、.工芸技術などの「無形文化財」
・風俗慣習、民俗芸能、.それらに使う衣服や器具などの「民俗文化財」
・遺跡、名勝、.動植物などの「記念物」
・地域の人々の生活や風土で形成された景観地である「文化的景観」
・宿場町、城下町、.農漁村などの「伝統的建造物群」
・土地に埋蔵されている文化財である.「埋蔵文化財」
・文化財保存に必要な材料や用具の生産、.制作、修理技術である.「文化財の保存技術」
と大別されますが、みなさんの周りにも今まで気づかなかった文化財があるのではないでしょうか。
以上の分類から、さらにより重要なものが「重要文化財」に指定され、その中でさらに価値の高いものが「国宝」です。
2018年1月現在、235の建造物、885の美術工芸品、計1110が国宝に指定されています。
▽人間国宝
重要無形文化財の対象は、文楽や能楽、焼き物や彫金などの「技術」です。
しかし、技術を保持しているのは人間ですから、認定は保持者に対して行われ、この認定を受けた重要無形文化財保持者を「人間国宝」と呼んでいます。
人間国宝は当然、増減がありますが、だいたい110人くらいで推移しており、伝統技術の維持、継承のため、人間国宝には年200万円が支給されています。
▽登録文化財の解体続く
東大安田講堂や京都の南座など、近代の貴重な建造物を保護するため、国は登録有形文化財の登録制度を導入しましたが、所有者にとっては修理や維持が重荷となって、解体するケースが後を絶ちません。
中には自治体所有の建物の解体もあって、全国に1万件以上ある登録有形文化財の保存も大きな課題となっています。
■まとめ
今、地元経済の活性化の目的もあって、世界遺産や文化財の保護に多くの目が向けられています。
しかし、その一方で残念ながら、心ない観光客が貴重な建築物にイタズラ書きをしたり、遺跡を傷つけるなどの事件も内外で数多く発生しています。
文化財の意義をひとりひとりがあらためて考えてみてはどうでしょうか。
文化財防火デーはそのいい機会になりますね。
1月26日は何の日?誕生日の有名人や星座、花言葉・運勢・性格は
他にもおもしろい記念日がたくさんあります!