▪はじめに
ピアノやオルガンなど、鍵盤を押して演奏する楽器のことを鍵盤楽器といい、音楽には欠かせない楽器の1つとなっています。
鍵盤楽器、とくにピアノは、日本の学校の音楽室に必ずあり、子供のころからその音に慣れ親しんできた楽器であると同時に、私のようにピアノを弾けない人間からしたら憧れの楽器でもあります。
そこで今回は、ピアノの鍵盤に関する記念日や雑学などについて紹介していきましょう。
目 次
鍵盤の日とは
鍵盤の日は、毎年8月8日にあります。
この記念日は、白木裕子(ボーカル)と大嶽香子(ピアノ)によるユニット「ナチュラル ハイ」によって2007年(平成19年)に制定されたものです。
「ナチュラル ハイ」とは、1997年(平成9年)に結成し、2003年(平成15年)にCDデビューした女性デュオです。
2008年(平成20年)に活動停止しましたが、2020年(令和2年)よりYouTubeチャンネル「オトの箱庭」を開設し、活動を再開しています。
▪意味
鍵盤の日は、ピアノサウンドに拘って音楽活動を行ってきた「ナチュラル ハイ」が、ピアノの鍵盤が88鍵あることから8月8日を意識し、毎年この日近くにライブやCDリリースを行ってきたことから制定された記念日です。
▪由来
鍵盤の日が8月8日なのは、フルサイズのピアノの鍵盤が88鍵あることに由来しています。
▪イベント
鍵盤の日に関するイベントは、残念ながら見つけることができませんでした。
鍵盤の雑学
<ピアノの鍵盤が88鍵なのはなぜ?>
現在、一般的なフルサイズのピアノの鍵盤は88鍵です。
しかし、ピアノが誕生した当初は88鍵ではありませんでした。
ではなぜ、いつごろ88鍵になったのでしょうか?
ピアノは、1709年にイタリアのハープシコード制作者バルトロメオ・クリストフォリによって発明されました。
ピアノが発明される以前は、13世紀ごろに誕生したとされる「クラヴィコード」と14世紀ごろ誕生したとされる「ハープシコード(別名:クラヴィチェンバロ(通称:チェンバロ)」という鍵盤楽器が主流で、ピアノはハープシコード(チェンバロ))を基に作り出されたものでした。
クリストフォリが発明した楽器は「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(小さな音も大きな音も出せるクラヴィコード風チェンバロ)」という名前で、それまでの鍵盤楽器ではできなかった音の強弱が出せる画期的なものだったのです。
この楽器は、後に「ピアノフォルテ」と略して呼ばれるようになり、さらに「ピアノ」と略して呼ばれるようになりました。
しかし、誕生した当初のピアノの鍵盤は、54鍵しかありませんでした。
その後、音楽の発展に伴い、ベートーベンなどの音楽家たちの要望に応えていき、鍵盤の数は18世紀後半には61鍵、1800年ごろには68鍵、1820年ごろには73鍵、1830年ごろには78鍵と増えていきました。
そしてついに、1890年ごろに88鍵(白鍵52鍵、黒鍵36鍵)となり、ピアノの鍵盤は88鍵で定着します。
それまで徐々に増えていったピアノの鍵盤は、どうして88鍵以上増えなかったのでしょうか?
その最大の理由は、人間がはっきりと聞き取れる音の範囲が88鍵分の音域(7オクターブ1/4)までだったからです。
人間の可聴範囲は約20ヘルツから20,000ヘルツまでで、さらに音程として聞き分けられるのは約20ヘルツから4,000ヘルツまでとされています。
88鍵のピアノは、最低音「ラ」が27.5ヘルツ、最高音の「ド」が4,186ヘルツなので、これ以上鍵盤を増やしてもノイズにしか聞こえず、音楽として成り立たないのです。
実際、88鍵以上鍵盤のあるピアノもあるのですが、実際に88鍵以外の鍵盤が使われることはほとんどないそうです。
またその他にも、人が座ったまま手が届いて演奏できる範囲が88鍵だから、88鍵以上鍵盤を増やすとピアノが大きくなりすぎて部屋に入りきらないからといった理由もあるといわれています。
<ピアノの鍵盤はどうして白黒なの?>
ピアノといえば、白と黒の鍵盤が特徴の1つですが、なぜピアノの鍵盤は白と黒なのでしょうか?
これは、一目でどの音がどこのあるのかが分かりやすいからです。
ピアノは、1オクターブの7つの幹音(全音階の基礎となる音)が白鍵、その間の5つの半音が黒鍵で、半音の鍵盤は幹音の鍵盤よりも高い位置に設置されています。
ピアノのすべての鍵盤が同じ色だったら半音の鍵盤が見えにくくなってしまうのです。
また、視覚的に白は浮き上がって見え、黒は引っ込んで見えることから、半音の鍵盤を黒にした方が視覚的に安定感があるといわれています。
そこで、ピアノの鍵盤は白と黒に分けられたというわけなのです。
しかし、ピアノが誕生したばかりのころは、使い続けていると白鍵が徐々に黄ばんでいくという難点がありました。
演奏には差し支えなかったのですが見栄えが悪いということで、18世紀前半のヨーロッパの貴族や金持ちたちは、白鍵に黄ばむことのない象牙と黒檀を使ったピアノを好んで作らせるようになりました。
けれど、希少な象牙を使ったピアノはとても高価で、ピアノはお金がある人にしか使えない楽器になってしまいます。
そこでこの問題を解決するために誕生したのが、白鍵と黒鍵の色が逆転したピアノです。
18世紀後半に誕生した白黒逆転のピアノは主流となっていき、モーツアルトもこの白黒逆転ピアノを使っていたといわれています。
しかし、その後フランス革命が起こって裕福な人が増えていったことにより、再びピアノは見栄えの良い象牙で作った白鍵の部分が多い鍵盤に戻りました。
しかし、ピアノのために多くの象が殺されてしまうことが問題視されるようになり、1900年代に木製の鍵盤に白い樹脂を使ったアクリル鍵盤が誕生します。
そして、1975年に発行されたワシントン条約により象牙の国際取引が禁止になったことで鍵盤の配色はそのままで、アクリル鍵盤を使ったピアノが主流となり現在に至るのです。
▪まとめ
ピアノの鍵盤の数や配色には、音楽の歴史や歴史的社会背景が大きく関係していることに驚きました。
私たちがよく知っているモーツアルトやベートーベンなどの作曲家たちも、ピアノを使って作曲活動を行っていたからこそ、様々な名曲を生み出せたといえると思います。
また、ピアノは今でも様々なジャンルの音楽に欠かせない楽器でもあり、最近ではピアノ系ユーチューバーも人気を博しています。
8月8日の鍵盤の日には、お気に入りのアーティストやクラシックなどの鍵盤楽器を使った楽曲を聞いたり、鍵盤楽器の演奏動画を見たりして、ピアノなどの鍵盤楽器の音色に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
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