▪はじめに
織部の日の「織部」とは織部焼のことを指しています。
織部焼は美濃焼のひとつで歴史が古く、自由で斬新なスタイルの焼き物です。
今回は、この織部焼に因んだ記念日や雑学などについてご紹介します。
目 次
織部の日とは
織部の日は、毎年2月28日にあります。
この記念日は、1599年(慶長4年)のこの日に美濃国(現在の岐阜県)出身の茶人・古田織部(ふるたおりべ)が自分のやいた茶器で茶会を開いたことに因んで、1988年(昭和63年)に織部焼が特産品となっている岐阜県土岐市が制定した記念日です。
▪意味
織部の日には、1599年(慶長4年)2月28日に古田織部が開いたお茶会で織部が作った茶器を使ったという、歴史上初めて織部焼が登場したことを記念するという意味があります。
これは、この時の茶会に招かれた博多の商人・神谷宗湛(かみやそうたん)が書いた「宗湛日誌」に記されていました。
▪由来
織部の日は、1599年(慶長4年)の2月28日に初めて古田織部が自分で焼いた茶器を使って、京都・伏見で茶会を開いたことに由来して制定されました。
この時に使われた茶器が後に「織部焼」と呼ばれるようになりました。
▪イベント
織部の日を制定した土岐市では、毎年「織部の日」に茶陶器や茶会などの様々なイベントを開催しています。
過去には土岐市美濃陶磁歴史館で「重要文化財・元屋敷陶器窯跡出土展」と「山茶碗展」が行われました。
この土岐市美濃陶磁歴史館では、毎年「織部の日」である2月28日に入館料が無料になるので、ぜひ「織部の日」にも足を運んでみてください。
また、土岐市ではこの他にも「土岐美濃焼きまつり」(5月3日~5月5日)や「炎の土岐市織部まつり」(7月下旬)など織部焼に関するイベントを開催しているので、興味のある方は参加してみてください。
織部の雑学
<古田織部ってどんな人?>
織部焼を生み出した古田織部とはどんな人物だったのでしょうか?
古田織部は本名を古田重然(ふるたしげなり)といい、戦国時代に織田信長・豊臣秀吉・徳川家康に仕えた武将であり、茶人・千利休の弟子でもありました。
重然は若い頃は茶道に興味を持っていなかったのですが、結婚後正妻の兄である中川清秀にすすめられて茶道に興味を持つようになったといわれています。
そして信長の死後、秀吉に仕えるようになり千利休と出会い利休の弟子となりました。
重然は利休の茶道をベースに独自の茶道を作っていき、「利休七哲」と呼ばれるようになります。
とはいえ、重然は茶道だけをしていたわけではなく秀吉のもとで武将としても名をあげていきます。
その功績から、秀吉が朝廷から関白に任ぜられたとき一緒に「従五位下織部助」という役職を賜り、このことから「古田織部」と呼ばれるようになりました。
その後、利休と秀吉が対立するようになり利休が切腹したことで織部は茶道の第一人者となり、朝廷や貴族・寺社などと茶道を通して深い関わりを持つようになります。
秀吉の死後は、関ケ原の戦いで徳川家康に味方したことで家康の息子の秀忠に茶道を教えるようになりましたが、1615年(慶長20年)に勃発した大坂の陣で豊臣側のスパイの疑いがかけられてしまい、切腹を命じられて73年の人生を終わらせることとなったのです。
織部が40歳ごろに行われた京都でのお茶会に招かれた博多の商人・神谷宗湛(かみやそうたん)が書いた「宗湛日誌」では織部のことを「へうげもの(ひょうきん者)なり」と記しています。
古田織部は波乱万丈な人生を歩んだ人ですが、織部焼の特徴である歪んだ器を面白いと思える柔軟な考えと感性を持った人だったのではないでしょうか。
<織部焼には10通りの種類がある⁇>
織部焼は古田織部の死後衰退していき、歴史から消えてしまいす。
しかし、昭和に入り古窯の調査が行われたことで復興し土岐市や多治見市などで生産されるようになりました。
現在の織部焼は、色や模様などによって次の10種類に分けられています。
青織部
器の一部に銅緑釉をかけて焼いたもので、深い緑色の織部焼です。
織部焼の代表的なものといわれていて、この色は「織部色」とも呼ばれます。
総織部
器全体に銅緑釉をかけて焼いたものです。
織部黒
黒釉を器全体にかけて焼いたもので、黒一色の織部焼です。
黒織部
織部黒と違い部分的に黒釉をかけて焼いたもので、余白の部分には鉄泥で絵付けをしてあ
る種類です。
赤織部
鉄分の多い赤土で作った器に白と黒の釉薬で絵付けしたものです。
鳴海織部
白土で作った部分と赤土で作った部分を接合して焼く方法のものです。
白土の部分には銅緑釉をかけ、赤土の部分には白と黒で絵付けします。
絵織部
銅緑釉をかけずに黒い釉薬で絵付けしたものです。
伊賀織部
部分的に白泥をかけ、伊賀焼で使われるビードロ釉と呼ばれる緑色の釉薬の代わりに黒い
釉薬を使って焼いたものです。
唐津織部
唐津焼のような絵付けを施した織部焼です。
志野織部
白土に白の釉薬をかけて大窯で焼く志野焼を登窯で焼いたものです。
織部焼と一言で言ってもこんなに種類があるのは驚きですね!
中でも、志野焼や伊賀焼、唐津焼などほかの焼き物の良い所を取り入れているのも斬新な
織部焼ならではといえるでしょう。
▪まとめ
いかがでしたでしょうか?
歴史の古い織部焼は色々な技法を使って作られていますが、1つとして同じものがないのが
特徴です。
織部焼に興味のある方はいろいろな織部焼を見て、その中からお気に入りの一品を探し
当ててみてください!
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