「２月15日 春一番名づけの日」
■はじめに
「春一番」と聞くと、なぜか心が浮き立つようですが、別名「春の嵐」は強い竜巻を発生させ、電車を横転させたこともありました。
また「春一番」の後の寒の戻りはリウマチや喘息を悪化させるそうで、なかなかのクセ者です。
目 次
春一番名づけの日とは
1963（昭和38）年２月15日の朝日新聞朝刊に「これから春一番の季節で警戒が必要」という記事が掲載され、これが「春一番」という言葉の初出とされています。
このため２月15日は「春一番名づけの日」と呼ばれていますが、実はその４日前の朝日と毎日の夕刊に使われていました。
今となっては、なぜ15日を初出としたのか調べようもありませんが、日本気象協会では1956年から既に毎日の天気図日記で「春一番」を使用していたそうです。
■春一番名づけの日の意味と由来
「春一番」とは、その年に初めて吹きつける南からの強風ですが、立春（２月４日ころ）から春分（３月21日ころ）の間に吹くという条件がついています。
また、風速は毎秒8m以上で、気温は前日から上昇すること、といった条件をすべて満たせば、気象庁認定の「春一番」です。
しかし、地域によって気象は異なるので、数年に１度は条件をクリアせずに、「今年の春一番はありませんでした」となる地方もあります。
冬の日本は、上空に張り出したシベリア高気圧から寒風が吹き込みますが、春が近づくにつれて高気圧は弱まり、日本海には温帯低気圧が発生します。
この低気圧に向かって、太平洋上の高気圧から空気が流れ込むことが強風の起きる原因です。
従って、山に囲まれた山梨県や長野県などは南からの風が届かないため、沖縄県は日本海から遠く、北海道はまだシベリア高気圧が残っている時期なので「春一番」の発生はありません。
■春一番名づけの日のイベント
暖かい季節になって、気持ちが華やいで…そんな「春一番」の訪れはキャッチコピーにもってこい。
南からの強風とは何の関係もありませんが、毎年「春一番」を謳う様々なイベントが各地で催されています。
たとえば、北海道伊達市では「春一番伊達ハーフマラソン」が2019年に32回目を数え、埼玉県川越市では障害者が安心して働いて暮らせる街をアピールする「春一番コンサート」を、新潟県のNPOが０～２歳児を育てる親の支援をする「春一番！おいでよ0,1,2おやこフェス」を開催するなどしています。
春一番名づけの日の雑学
▽「春一番」の定義はキャンディーズが作った？
1975（昭和50）年４月、キャンディーズのアルバム「年下の男の子」が発売され、その中の曲「春一番」が翌年にシングルカットされて大ヒットし、その後ウルフルズ、いきものがかり、ゆずなどがカバー、今でもカラオケの定番曲として多くの人に愛されています。
なんと、フランク永井もカバーしているそうですが、聴いたことありません。
ちなみに、この曲からランちゃんがセンターになりましたね。
前置きが長くなりましたが、この曲の大ヒットによって「春一番」という言葉を知らない人はいなくなって、春先になると気象庁に「春一番」の問い合わせが殺到するようになりました。
このために気象庁は「春一番」の定義を決め、1951（昭和26）年のデータにまで遡って「春一番」の日を特定して発表しています。
▽二十四節気
「立春」や「春分」は二十四節気にある言葉で、旧暦では立春が１年の始まりとされ、春分は「秋分」同様、昼と夜の長さが同じ日ですね。
この二十四節気は太陰暦を使用していた時代に、１年を24等分し、それぞれの季節を表す言葉としたもので、現代でも使われていて「春分の日」「秋分の日」は祝日になっています。
啓蟄、夏至、立冬、冬至、大寒などもよく耳にしますが、雨水や芒種、大暑などはあまり知られていないようですね。
春分の日や秋分の日が年によって１日ズレるのは、地球の公転が365日と約６時間かかるため、大洋が地球の黄道の春分点を通過するタイミングが毎年微妙に違うことで、その違いの蓄積から生じるものです。
これ以上の説明は筆者の能力を超えているので、後はうるう年と同じように考えてみてください。
また、二十四節気をさらに３分割した「七十二候」もありますが、これも風流すぎて何のことやらさっぱりわかりません。
■最後に
「春一番」は日本独特の気象なので、英語でも「haruichiban」と言うのだろうと思っていましたが「the spring’s first wind」という情緒のないものでした。
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