「9月26日 ワープロの日」
■はじめに
筆者はその昔、ワープロ試作ソフトの熟語変換テストに立ち会ったことがあります。
とにかく、読み通りの同音異義語がズラズラと並んでしまい、こんなまどろっこしい機械が本当に役に立つのかと、いぶかしんだものでした。
今の変換とは隔世の感がありますね。
目 次
ワープロの日とは
1978(昭和53)年9月26日、東京芝浦電気(現東芝)が世界初となる日本語ワープロ「JW-10」を発表したことを記念して、この日が「ワープロの日」と言われています。
世界初って…日本以外に日本語ワープロを開発する国があるはずもなく、世界初っていう枕詞はちょい誇大表示ですね。
■ワープロの日の意味と由来
「ワープロの日」はともかく、日本語ワープロの発明は時代を変えたと言っても、決してオーバーな言い草ではありません。
もし、今も日本語の変換機能がなければ、PCの情報伝達は長い電報のようなカタカナ羅列か、なつかしい「\」で始まるアルファベット列になって、瞬時に内容を把握することはできませんね。
そもそものきっかけは、開発者と新聞記者との雑談からだそうで、たしかに外国人記者がタイプライターをパチパチ打つスピードに、鉛筆やボールペンでの手書きがかなうはずがありません(社によっては、5枚複写の原稿用紙)。
もっとも、アルファベット26文字の並びでそのまま意味を持つ文章になる英語と違って、日本語はひらがな、アルファベットのどっちで入力しても、変換というプロセスが避けられない以上、やっぱり太刀打ちはできません。
しかし、やがて変換機能もどんどん向上し、扱いに慣れてしまえば、手書きよりはるかに速くなりましたが、それ以上の利点として、まず下手な文字で読めないことがなくなる、きれいに印刷できてFAXで情報伝達ができる、フロッピーに落とせば保存や受け渡しに便利など、まさに文明の利器を手にした思いでした。
その半面、字を書かなくなるため、読めても書けないという漢字が増えた気がします。
また、ベテランの整理記者が言うには、複写原稿の手書きは筆圧の強弱がよくわかって、記者が自信を持って書いた部分は字がくっきりしているが、力のない文字は自信も危ういように見て取れたそうです。
ワープロの開発者は理系人間で、変換処理のために日本語の構文分析から始めなくてはならず、苦労のほどがしのばれますね。
■ワープロの日のイベント
もはやポケベル同様、忘れ去られた存在のワープロなので、もし記念イベントがあるとしたら、JR川崎駅近くにある東芝未来科学館くらいだろうと思って調べてみましたが、残念ながらありませんでした。
ワープロの日の雑学
▽ワープロ世代別使用経験調査
PCの機能が向上し、値段も下がって、個人でも買えるようになったことで、2003(平成15)年には全社がワープロの製造を終了しました。
平成生まれの人はワープロに触れる機会どころか、見たこともないと思いますね。
ある会社が全国の男女約1300人を対象に、ワープロの世代別使用経験を調査したところ、まずワープロの使用経験がある人は全体の41%でした。
これは案外と多い数字だと思いましたが、世代別に見ると一番多いのはやはり60代男性の65.4%で、次いで50代男性の63.5%、50代女性51.1%、40代男性50.7%、40代女性49.6%と続いています。
逆に少ないのは20代で、男性17.4%、女性20.1%、30代男女がこれに続いています。
しかし、20代はどこでワープロを使ったんでしょうか?
▽「ワープロは生き残る」
30年前、ワープロとPCの両方を製造していたころ、各社へあてた「ワープロはいずれなくなるか」という質問状の回答があります。
「使いやすいことが重要なので文書専用機として残る」
「文書作成に特化されているので必要性がなくなるとは思えない」
「ワープロ10、PC1の割合で共栄共存する」
「PCの伸びは緩やかだが、ワープロの伸びは急。ワープロ社会到来のほうが早い」
などと回答しています。
ちょっと笑えます。
■最後に
あんなに便利だと思ったワープロは短命に終わってしまいましたが、文字配列を覚えさせてもらったことで、PCへすんなりと移行できました。
しかし、今や「教えて、グーグル!」と、スマホに話しかける時代が到来、いずれ日本語変換や文字配列を懐かしいと思う時が来るのでしょうか。
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