「12月20日 シーラカンスの日」
■はじめに
約2億5000万年前、南北アメリカやアフリカ、ユーラシア、南極などの大陸は、パンゲア大陸という一つの大陸でしたが、大陸移動によって分裂して現在の形になったと言われています。
これがプレートテクトニクス理論ですね。
この理論が証明されたのは、バンゲア大陸に生息していた動植物の化石が世界中で発見されていることからで、中でもブラジルとアフリカから発見されたシーラカンスの化石は同一種と見られることで、特に重要な証左だと言われています。
しかし、途方もなく昔の話なので、あまりピンときませんね。
目 次
シーラカンスの日とは
約6500万年前に絶滅したと思われていたシーラカンスが、1952(昭和27)年12月20日、アフリカのマダガスカル島沖で捕獲され、初めて学術調査が行われたことを記念し、この日は「シーラカンスの日」と呼ばれています。
しかし、それに先立つ1938(昭和13)年12月22日にも南アフリカでシーラカンスが捕獲されていますが、すぐには確証が得られなかったため剥製として保存、後にシーラカンスと判明しました。
また、1992(平成4)年にもインドネシアのメナド島で発見されています。
「シーラカンスの日」は初めて学術調査が行われた日付を採用したものですね。
■シーラカンスの日の意味と由来
アフリカで捕獲されたシーラカンスの現生種(化石ではなく生きて捕獲されたもの)の学名は「ラティメリア・カルムナエ」と言います。
「ラティメリア」とは最初(1938年)にシーラカンスを発見した女性学芸員の名前で、「カルムナエ」は捕獲した場所がカルムナエ川だったからだそうです。
メナド島のほうはラティメリアの新種で「L.menadoensis」(別名インドネシアシーラカンス、こっちのほうがわかりやすいです)と命名されています。
で、本家のラティメリアは体長が1~2m、体重100kg超で、鱗は細かい突起物で覆われていて色は濃紺、死ぬと茶色になります。
オーストリア・ウィーンの博物館にある標本はたしかに茶色に見えなくもありません。
シーラカンスは大きな骨と関節を備えた頑丈な胸ビレと腹ビレを持ち、歩くように泳ぐそうで、これは魚類から両生類への進化途上の姿と推測されています。
また背骨がなく、代わりに脊柱という液体で満たされたホース状の管が通っています。
ギリシャ語で「脊柱」を「シーラカンス」と言います。
■シーラカンスの日のイベント
イベントはないようですが、本物のシーラカンスを見たければ、静岡県の沼津港深海水族館で冷凍保存されたシーラカンスを見学することができます。
シーラカンスの日の雑学
▽なぜ「生きた化石」になれたのか?
陸上へ進出寸前だったシーラカンスには当然「肺」も備えられていたので、浅瀬で生息したことがあると思われます。
それがなぜ再び深海に戻ったのかは不明ですが、これでシーラカンスは6500万年前の大量絶滅時代を生き抜くことになります。
もっともラティメリア以外の種は絶滅に巻き込まれて化石ばかりが発見されています。
深海は環境の変化が起こらず、特異な進化が不必要なため、ラティメリアが姿を変えることなく生き残れたと言われています。
捕獲されたシーラカンスは化石と寸分違わない姿形をしていたため、これが「生きた化石」と呼ばれるゆえんです。
▽地質時代を整理してみました
話の年代が途方もなく昔なので、これを機にちょっと整理したいと思います。
文明や政府どころか、ほとんどヒトも現れないころなので、時代区分はローマ帝国時代や江戸時代というわけにはまいらず、「地質時代」というカテゴリーになります。
では古い順に、
先カンブリア時代(46億年前~)→古生代(5億6000万年前~)→中生代(2億4000万年前~)→新生代(6400万年前~)となります。
新発見や測定法の進歩で数字の変わることもあるそうです。
各年代を動物界の現象に限って紹介します。
▼「先カンブリア時代」
地球誕生直後で地表はマグマだらけで生物どころではありませんでしたが、末期になると酸素が生成されてようやく無脊椎動物時代が到来します。
▼「古生代」
無脊椎動物時代
カンブリア紀(5億6400万年~)三葉虫出現
オルドビス紀(5憶年~)魚類出現
魚類時代
シルル紀(4億3600万年~)サンゴの繁栄
デボン紀(4億900万年~)魚類繁栄、両生類出現
両生類時代
石炭紀(3億6000万年~)両生類繁栄、爬虫類出現
二畳紀(2億8400万年~)三葉虫絶滅
▼「中生代」
爬虫類時代
三畳紀(2億4200万年~)哺乳類出現
ジュラ紀(2億800万年~)鳥類(始祖鳥)出現、恐竜(大型爬虫類)繁栄
白亜紀(1億4000万年~)恐竜・アンモナイト絶滅
▼「新生代」
哺乳類時代
古第三紀・新第三紀(6400万年~)哺乳類繁栄
第四紀(200万年~)人類の繁栄
■最後に
こうやって地質年代を見ると、深海にかかわる出来事はほとんどないため、やはりシーラカンスが海深く潜ったのは正解だったようです。
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