▪はじめに
母乳は赤ちゃんにとって1番大切な栄養源です。
それとともに、お母さん自身が健康に子育てをスムーズに進めるためにも母乳で育児することは重要であるとされています。
そんな母乳育児を世界中に勧めていくために制定されたのが「世界母乳の日」という記念日です。
目 次
世界母乳の日とは
世界母乳の日は、毎年8月1日にあります。
世界母乳の日は、1990年(平成2年)の8月1日にユニセフ(UNICEF:国連児童基金)とWHO(世界保健機構)が30か国の政府や複数の国際団体と共同で、母乳育児の保護・推進・支援の必要性を「イノチェンティ宣言」として発表したことに因み、1992年(平成4年)にユニセフとWHOの支援を得てWABA(世界母乳育児行動連盟)が制定した記念日です。
また、8月1日~8月7日の1週間を「世界母乳週間」と制定し、世界各国で母乳育児を推奨する様々なイベントが行われています。
▪意味
世界母乳の日には、子供が母乳で哺乳される権利である「母乳権」の普及を図り、母乳による育児を推進するという目的があります。
▪由来
世界母乳の日は、1990年(平成2年)8月1日に母乳育児を推奨する「イノチェンティ宣言」が発表されたことに由来して制定された記念日です。
▪イベント
世界母乳の日に関するイベントは、残念ながら見つけることができませんでした。
世界母乳の雑学
<「イノチェンティ宣言」とは?>
イノチェンティ宣言とは、1990年(平成2年)8月1日に、イタリアにあるヨーロッパ最初の孤児と捨て子を育てるための施設「オスペダーレ・デッリ・イノチェンティ(イノチェンティ孤児養育院)」で開かれた会議の中で作成・承認された母乳育児を推奨する宣言です。
イノチェンティ宣言では、母乳育児には次のような利点があるとしています。
・母乳は乳児にとって理想的な栄養であり、乳児が健康に成長・発達するのにとても役立つものであること。
・母乳で育てることで感染症の発生率と重症化がおさえられ、乳児の死亡率が低くなること
・母乳育児をすることで、母親の乳がんや卵巣がんが発症するリスクが下がること
・(授乳中は排卵をしないので)次の妊娠まで期間が開くことで、女性の健康を保つことに役立つこと
・経済的負担がかからないこと
これらの利点から、生後4~6カ月までは母乳だけで育児をし、2歳かそれ以上まで適切で十分な食事を与え栄養を補いながら母乳育児を続けることを世界中の母となる女性に勧めると宣言しています。
近年の研究から、出産直後から数日間分泌される「初乳」と呼ばれる母乳の中には様々な病気に対する抗体や成長に必要な栄養分が多く含まれていることが分かっています。
さらに、授乳中の女性はエストロゲンという女性ホルモンの排出が低下しますが、エストロゲン値が低くなることが乳がんや卵巣がんになりにくくなることと関係しているともいわれているのです。
また、出産後すぐに妊娠してしまうと母体と胎児両方の健康を大きく損なう可能性が高くなりますが、授乳中は排卵をしないことから妊娠することができません。
母体がしっかりと回復してから次の妊娠に臨めることから、女性と子供の健康を守ることができると考えられます。
あわせて、母乳のみの育児だとミルク代の経済的負担がなくなることも、母乳育児の大きなメリットです。
これらのことからイノチェンティ宣言の中では、母乳育児が子供にも母親にも大切で勧めていく必要があり、母乳育児を守るために医療制度、職場、その他の社会の中にある母乳育児を妨げるものを取り除き、援助や指導をする必要があると述べています。
<母乳育児のメリットとデメリットとは?>
イノチェンティ宣言の中でいくつかの母乳育児のメリットが挙げられていますが、その他にも次のようなメリットがあるといわれています。
赤ちゃんにとってのメリットは次のようなものがあります。
・母乳から多くの抗体や成長に必要な栄養分を貰えるため、感染症やアレルギー、乳幼児突然死症候群、糖尿病などの発症を予防することができる
・母乳を吸うという動作があごや顔の筋肉の発達を促す
・お母さんと密着することで安心感を得られる
これらのメリットは、赤ちゃんが心身ともに健康に育っていくためにとても重要なものです。
一方、お母さんにとってのメリットは次のようなものがあります。
・授乳した際に分泌される色々なホルモンによるメリット
- オキシトシン:子宮の収縮が促されて母体の回復がスムーズになる
- プロラクチン:排卵が抑制されて次の妊娠までしっかりと期間を開けることができる
- コレシストキニン:妊娠前の体重に戻すのを促す
・乳がん・卵巣がん・子宮がん・骨粗しょう症予防などの予防になる
・マタニティブルーの予防になる
・赤ちゃんとの絆が深まる
・ミルク代やミルクを作る手間が省ける
ただし、母乳育児にもデメリットはあります。
母乳には血液を固まらせる働きをもつビタミンKがあまりたくさん含まれていないため、哺乳量が少ない赤ちゃんは頭蓋内出血を突然起こしてしまうビタミンK欠乏症になる恐れがあります。
このビタミンK欠乏症を予防するため、産院などの1ヵ月検診のとき全ての赤ちゃんにビタミンKシロップを飲ませますが、人口ミルクにはビタミンKが十分に入っているのでビタミンK欠乏症の危険性がグンと減ります。
また、母乳は消化が良いので赤ちゃんはすぐお腹を減らしてしまい、お母さんは昼夜問わず2~3時間の授乳が必要になるので、寝不足からくる疲労感やストレスが溜まってしまいがちなのもデメリットの1つです。
加えて、母乳は赤ちゃんがどのくらい飲んだか分かりにくい、外出時に飲ませる場所がすぐに見つからない場合がある、赤ちゃんを預けにくくなるなどのデメリットもあります。
母乳だけで育児をすることは、本来の生き物としての自然な育児なのでメリットが多いといえます。
完全母乳での育児を望まれる方は、バランスの良い食事と水分をたっぷり摂り、ストレスが溜まらないように適度な息抜きをするとよいでしょう。
▪まとめ
母乳で赤ちゃんを育てることは母子ともによいことです。
しかし、様々な理由から母乳だけの育児が難しい場合もあります。
イノチェンティ宣言の中では人口ミルクは母乳育児を妨げる物として挙げられていますが、母乳とミルク両方を使って3人の子育てをした私からすると、どちらかが絶対ではないので無理せずお母さんや赤ちゃんの個々に合わせて使い分けると子育てもスムーズになるのではと思います。
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