「10月5日 レジ袋ゼロデー」
■はじめに
筆者はレジ袋をなくそうという運動には賛成で、有料化に反対でもありませんが、あまりにもレジ袋にこだわりすぎて、それだけでひとりひとりが環境問題に対処し、事足れりと思い込んではいないかを危惧しています。
目 次
レジ袋ゼロデーとは
2002(平成14)年、スーパーマーケットの業界団体である日本チェーンストア協会が10月5日を「レジ袋ゼロデー」に制定し、レジ袋の消費抑制を広く国民に呼びかけました。
なぜ10月5日なのか今もって不明で、ふつうは制定者のHPにその趣旨なりを明記するものだろうと思いますが、特に記述はありません。
■レジ袋ゼロデーの意味と由来
地球環境問題、温暖化対策は全世界的な喫緊の課題で、日本政府も対策に迫られましたが、経済成長に大きく影響するエネルギー、電源問題に踏み込んでは、産業界の反発も避けられずに話が頓挫するのは確実で、実際に全国民の関心事になり得るのかも甚だ疑問です。
そこで、経済成長に影響を与えず、国民ひとりひとりに身近なレジ袋を俎上として、環境対策の当面の目玉とする案が浮上し、関係業界一丸となったというのは想像に難くない話です。
第一、客に不便なレジ袋をなくすというメリットがスーパーにあったとも思えませんが、政府主導とあれば無下にもできないのは当然ですね。
レジ袋が海洋生物に与える悪影響などのキャンペーンも功を奏し、レジ袋の辞退やマイバッグ持参も増えたことで、さらにもうひと押しとばかり2020年7月からレジ袋が有料化され、今やコンビニ各社の発表では、レジ袋辞退率は75~85%に達しているそうです。
■レジ袋ゼロデーのイベント
もはや「レジ袋ゼロデー」の使命は済んだようで、今更ながらの啓発イベントはありません。
レジ袋ゼロデーの雑学
▽レジ袋一斉有料化は隠れカルテルか?
皮肉な見方をすれば、レジ袋の有料化はスーパーやコンビニにとって、レジ袋のコスト削減となるわけなので、悪い話ではありません。
今回、各店舗が足並みをそろえて有料化に踏み切りましたが、環境問題対策の一環として政府の号令一下がなければ、「カルテル」と言えないこともありません。
もちろん、レジ袋の代金設定は各社に任されてはいますが、1枚1円以下は認めない、複数枚のうちの一部を無料提供することは有料化ではないなど、カルテルにならないよう代金に幅を持たせつつもキッチリと制約がかかっています。
レジ袋の売り上げは環境団体に寄付することになっていますが、それ以上の決まりはなく、各店舗の裁量に任されて公表義務がないなど、もうひとつ透明性に欠ける制度設計です。
レジ袋有料化に際して経産省と環境省は「有料化ガイドライン」を策定していますが、そもそも袋とは何かから始まって、レジ袋の定義、例外措置、抜け道防止まであらゆるケースが想定されていて、担当者の苦労がしのばれますね。
例えば、持ち手があれば袋なので有料、なければ持ち運び用とはみなさず無料ですが、上部に指が入る程度の穴があれば有料、袋上部を巾着袋のように絞りヒモを結べば持ち手となるので有料、薬事法に基づいて調剤された薬を入れるレジ袋は無料、陳列段階ですでに袋詰めされた商品の袋は無料等々……なかなか難解です。
▽海岸漂着のレジ袋はわずか0.4%
レジ袋有料化は全世界的な流れですが、国によって効果の形には違いがあるようです。
2015年に有料化したイギリスでは、買い物客1人当たり年間約140枚だったものが約10枚にまで激減し、海岸で見つかったレジ袋も60%減って、沿岸部のゴミ対策に効果が現れているようです。
では、日本はどうかと言うと、そもそも沿岸に見られるレジ袋は、プラスチックの漂流ゴミの0.4%にしかすぎず、ほとんどは漁網やロープ、ブイ、飲料用ボトルなので、わずかでしかない漂着レジ袋の有料化が実際にどの程度海洋ゴミ削減に寄与できているかは疑問です。
もちろんレジ袋有料化がムダと言うのではなく、もっと根本的な問題にもひとりひとりが目を向けるべきだと考えています。
■最後に
ところで、筆者の家ではレジ袋に日々のゴミを入れ、そのいくつかをまとめて自治体指定の大きなゴミ袋にまとめています。
有料化されてしばらくはホームセンターでレジ袋(ポリ袋)を買う必要があり、結局、家庭内で消費するレジ袋の量は同じ、その費用負担が各社から我が家へ移動しただけですね。
環境問題は個人の心掛けが大切なのはもちろんですが、国家の意識や政策、法整備、行動変化が必要であるにもかかわらず、エネルギー問題はいくら数字を設定しても現実には「努力目標」でしかありません。
左手で何かを仕掛けようとしたら観客の目を右手に注目させろ、という言葉が手品の世界にあるそうですね。
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