「9月19日 苗字の日」
■はじめに
最近、「苗字」に関するテレビ番組や書籍の出版が相次ぎ、「苗字」がちょっとしたブームになっています。
佐藤、鈴木、高橋、田中、渡辺……日本人に多い苗字ランキングBest5は、大方の予想通りですね。
目 次
苗字の日とは
9月19日は「苗字の日」です。
1870(明治3)年のこの日、「平民苗字許可令」という太政官布告が出されて、平民も苗字を名乗ることが認められました。
この布告は戸籍を整理するためでしたが、当時の政府は現在同様、あまり信用されていなかったので、増税目的と疑われて浸透しませんでした。
そのため、1875(明治8)年2月13日に、今度は「平民苗字必称義務令」で苗字を強制することになり、こちらのほうは「苗字制定記念日」と呼ばれています。
■苗字の日の意味と由来
ところで現在は「苗字」という表記を使用せず、公文書はすべて「名字」としていますが、意味は同じです。
どうして「名字」に変わったのかと言うと、1946(昭和21)年に告示された「当用漢字表」から「苗」の漢字が削除されたため、常用漢字の使用が規定されている公文書などでは「苗字」の表記ができず「名字」となりました。
■苗字の日のイベント
イベントは聞いたことがないので、代わりに某ウェディング会社が苗字の日にちなんで、20~40代の男女(既婚、未婚半数ずつ)を対象とした「結婚と苗字」についてのアンケート結果から、夫婦別姓と大変だったことの回答を紹介します。
夫婦別姓を望むかとの問いには78%が「No」と答え、その理由として、男女ともに「家族になるので同じがいい」とし、女性は「別姓の必要を感じない」「子どもへの影響」と回答しました。
また、「姓が変わって大変だったことは」の問いには、
資格や免許の変更手続き
職場で同僚からは旧姓で、上司からは新姓で呼ばれてややこしい
つい旧姓を言ってしまう
結婚したの?と言われるのが面倒
などの回答が寄せられ、変更手続きが大変だったものの1番は銀行口座、次いで運転免許、クレジットカード、パスポート、保険と続きます。
ちなみに、あこがれの苗字1位は「五十嵐」でしたが、理由は不明です。
苗字の日の雑学
▽「姓名」は誤りで、正しくは「名名」
いろいろな手続きで名前を記入することも多いですが、その際「姓」「名」といった欄の表記を見かけます。
しかし、カタいことを言うようですが、名字と「姓」は本来異なるものなので、誤った表記とも言えるんです。
蘇我氏や尾張氏という名前を歴史の授業で聞いた覚えがあると思いますが、古代日本の血縁集団(氏族)は「氏」(ウジ)を名乗っていました。
やがて勢力を増した朝廷も「氏」を授けるようになり、「源平藤橘」と呼ばれる藤原氏、橘氏、源氏、平氏も誕生しています。
次に「姓」(カバネ)ですが、これは朝廷での氏族の役職に対して天皇が与えたもので、
公(キミ)、君(キミ)、臣(オミ)、連(ムラジ)や、
後には、
真人(マヒト)、朝臣(アソン)などがあります。
その後、藤原氏のように、同じ「氏」を持つ人間が増えて区別しにくくなったため、自分で考えてもいい「名字」が登場することになります。
(この時代は「苗字」ではなく「名字」と言っていました)
伊賀の藤原が「伊藤」、加賀は「加藤」、斎宮司という役職は「斎藤」などです。
以後、この「氏」「姓」「名字」が身分の高い貴族や武士に定着することになるので、たとえば織田信長の正式名は
「平朝臣織田三郎信長」で、三郎は通称ですね。
江戸時代に入るころには「姓」の扱いが格落ちとなって、正式名の順番も変わってきて、「名字・官位・氏・姓・名前」の順となり、家康の正式名は、
「徳川右大臣源朝臣家康」です。
こうした変遷があったことから、正しく名字と名前を一緒に表記すれば「名名」となってしまうので、便宜上「姓名」として通用しています。
▽「名字」と「苗字」
平安時代、武士の所有する土地を「名田」(みょうでん)と呼び、その地名を「字」(あざな)と呼んでいましたが、所有権をより主張するために別の名前を名乗るようになりました。
この新たな名前は、「名田」の地名に由来する「字」であることで「名字」が誕生したことになります。
江戸時代になると、家や一族を重視するようになって、子孫や末裔を意味する「苗裔」(びょうえい)という中国の言葉から「苗字」とするようになりました。
これが昭和21年まで続くことになります。
■まとめ
天皇には姓も氏もありませんね。
これは天皇は「神」であり、どの氏族にも属さないという古来の思想のためですが、「人間宣言」の際にGHQは何も言って来なかったんでしょうか。
でも、やはり天皇に名字があるのはヘンですよね。
9月19日は何の日?誕生日の有名人や星座、花言葉・運勢・性格は
他にもおもしろい記念日がたくさんあります!