▪はじめに
古典とは、古い書物や古い形式のことを指します。
現代の日本人は古典は学校の授業くらいでしか触れる機会がなく、難しいとか敷居が高いといったイメージを持つ人が多くて、残念ながら古典に興味を持たない人が増えてきています。
そんな現代人にも古典に興味を持って貰いたいという願いから制定されたが古典の日という記念日です。
目 次
古典の日とは
古典の日は、毎年11月1日にあります。
古典の日は、2008年(平成20年)に源氏物語千年紀委員会によって制定された記念日です。
その後、古典が日本の重要な文化福田康夫元首相を会長とする「古典の日」推進議員連盟により2012年(平成24年)9月に「古典の日に関する法律」が制定され、国の定める記念日となりました。
▪意味
古典の日には、国民の間に広く古典についての関心と理解を深めるようにするという目的があります。
「古典に関する法律」においての「古典」とは、文学・音楽・美術・演劇・伝統芸能・演芸・学術又は思想の分野における古来に産みだされたり作りだされたりしたもののことです。
▪由来
古典の日が11月1日になったのは、源氏物語の作者・紫式部が書いた「紫式部日記」の1008年(寛弘5年)11月1日に書かれたものの中に、歴史上初めて源氏物語に関する記録が記されていたことに由来しています。
▪イベント
毎年古典の日である11月1日に、古典の日推進委員会主催のイベント「古典の日フォーラム」が京都府で開催されています。
このイベントでは、古典文学に関する講演会や朗読、能楽などの実演などが行われます。
例としては平家物語をテーマにした講演会や物語の解説、オーケストラや琵琶の演奏会、能楽の実演や講演などが行われます。
その他にも、毎年「古典の日朗読コンテスト」や「街かど古典カフェ」など古典に親しんで貰うためのイベントが行われています。
いずれも事前に申し込む必要があるので、興味のある方は古典の日推進委員会ホームページをチェックしてみてください。
古典の雑学
<源氏物語の著者は紫式部だけじゃない?>
「源氏物語」とは、世界最古の女性が書いた長編恋愛小説で、作者は言わずと知れた紫式部です。
この物語は、主役の光源氏の生涯と光源氏が亡くなった後の源氏の子孫たちの話で、54帖からなるこの長編小説となっています。
源氏物語は3部構成になっているとされており、1部が1帖~33帖で光源氏が生まれてから多くの女性たちとの恋愛を通して紆余曲折あった後に栄華を極めるまで、2部が34帖~41帖+雲隠れ(本文無し)で光源氏の晩年から死去するまで、3部が42帖~54帖で光源氏の子孫である薫と匂宮の物語となっています。
一般的にはこれら全てを紫式部が書いたとされていますが、じつは紫式部だけが書いたものではないという説もあります。
それは、平安時代は印刷技術などなく、物語などの書物は書き写して手元に置いていたことに由来します。
その書き写しをしている間に、写し間違えたり写した人が少しだけ手を加えて他の人に貸したりして、原本とは違った内容が伝わっていったのではないかというものです。
本を書き写す際に内容が変わっていくというのは、清少納言が枕草子の中でも書いていて、当時としてはよくあることだったようです。
ですから、現代の私たちが知っている内容は、紫式部が書いたものとは少し違う可能性が高いということなのです。
また、近年の研究や伝承などから3部は紫式部の娘の大弐三位が書いたという説や光源氏のモデルとなった源高明が書いたという説や紫式部の父親である藤原為時大筋を書いて細かい部分を紫式部に書かせたなどという説もあります。
いずれにしても、現代には紫式部が書いた原本は残っていないので真実は分かりませんが、紫式部が源氏物語を書いたことで当時の中宮(天皇の后)彰子に仕えることになったのは事実であり、源氏物語が1000年後にも世界中の人々を魅了する素晴らしい作品であることは変わりないのです。
<伝統芸能とは神様に捧げるためもの>
古典に関する法律における「古典」には「伝統芸能」が含まれています。
伝統芸能とは、かつて儀式や祭りの中で神様に捧げるものとして産まれた踊りや歌、演劇などのことです。
なかでも日本舞踊は神様への捧げものとして現在でも地域で受け継がれているものが多いのが特徴です。
伝統芸能における日本舞踊には、次のようなものがあります。
・神楽:神様に奉納するための舞で、神社や神様とゆかりのある地域などで舞われるもの
・田楽:かつて田植えを始める前に神様に捧げたとされる舞
・舞楽:中国や朝鮮半島から伝わったものが日本に根付いたもの
宮中行事などで行われ、演目ごとに違った面をつけて雅楽とともに奉納される
・猿楽:能や狂言の元となったとされる喜劇的な舞
・白拍子:女性が男装をして踊る舞
・延年(えんねん):寺院での集まりの際に僧侶や稚児が行っていた舞
・曲舞(くせまい):物語にリズムや抑揚をつけて踊られる舞
・上方舞:上方(現在の大阪や京都)で産まれた舞
・大黒舞:正月に大黒点の面をつけ宝の槌を持って家の前で踊るお祝いの舞
・恵比寿舞:恵比寿天の面をつけ釣竿を持って踊る舞
大漁祈願や航海安全を祈願して踊られていたもの
・纏舞(まといまい):江戸時代に火消しの各組が使っていた纏を振り上げながら踊るもの
・念仏踊り:念仏を唱えながら踊る舞
・盆踊り:お盆の時期に死者を供養するための踊り
・歌舞伎舞踊:歌舞伎の劇中に踊られる舞
日本舞踊のほとんどが歴史の授業で習ったことのあるもので、現在も残っているのかと驚きました。
伝統芸能というと、現在では極わずかな人にしか受け継がれておらず、あまり馴染みの無い感じがしますが、盆踊りや神楽など身近で親しみ深いものもあります。
私たちがこれらの日本舞踊を踊り手として受け継ぐことは難しいですが、見て触れることで日本人が神さまとの繋がりが強かったという歴史と共に次世代へと受け継がれるきっかけになるかもしれないので、機会があればぜひ見てみてはいかがでしょうか。
▪まとめ
古典は、昔の言葉が使われていたり神事や宮中行事などで行われていたりして少し敷居が高い感じがすると思います。
でも、最近では古典文学を現代語訳して読みやすくしてある本や古典文学をそのままあるいはモチーフとした漫画や小説があったりしますし、日本舞踊や歌舞伎や人形浄瑠璃などの古典演劇もテレビなどで目にする機会も増えています。
ちゃんと読んだり観たりすると現代の作品と同じように楽しめるので、ぜひ古典に触れてみてください。
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