日本でユリと言えば、テッポウユリを思いうかべる人が多いでしょう。
西洋では、白いユリと言えば、マドンナリリーです。
1輪の花が大きく、存在感のあり、西洋では冠婚葬祭などにも利用されます。
そんなマドンナリリーは、キリスト教と深く関係していました。
目 次
マドンナリリーとは
5月から6月に白色の花を咲かせるマドンナリリー。
ユリ科ユリ属の花です。
地中海沿岸やヨーロッパが原産で、ベイルート川渓谷で自生しています。
日本でよく見られる、テッポウユリとは異なり、湿気を嫌い、乾燥地域で育ちます。
また、寒さに弱く、日本の家庭で栽培するのは少し難しい花です。
花はユリ特有のラッパのような形で、6枚の花びらで形成されます。
花色は、テッポウユリと同じ白色です。
直径の大きさが10㎝程度で、1輪でも存在感が十分にあります。
ユリ属の花の多くは香りが強い物が多いですが、マドンナリリーも甘くいい香りがただよいます。
その香りのよさから、香水などで利用されています。
マドンナリリーの名前の由来
マドンナリリーという名前は、地中海沿岸の地域やヨーロッパ諸国に、日本原産のテッポウユリが伝わったことに由来します。
19世紀までの西洋では、ユリと言えばマドンナリリーのことを表していました。
日本原産のテッポウユリが西洋に伝えられると、2つのユリを区別するために、地中海沿岸やヨーロッパ原産のユリをマドンナリリーと名づけました。
西洋でユリとは、キリスト教を表すものです。
真っ白なユリの花が聖母マリア様を連想させるため、西洋のユリをマドンナリリーとしたそうです。
マドンナリリーは、「White garden lily」という英語名がついています。
西洋では香水の原料としても利用しているため、古くから栽培されていました。
庭に白いユリをたくさん栽培したことから、このような名前がついたのかもしれませんね。
マドンナリリーの和名は、「庭白百合(ニワシロユリ)」で、英語名の「White garden lily」から由来しています。
マドンナリリーが誕生花となる日にち
2月27日
マドンナリリーの花言葉
「純粋」「無垢」「汚れのない心」「気品」「永遠の愛」などが、マドンナリリーの花言葉です。
西洋では「refined beauty(洗練された美)」「purity(純粋)」などの花言葉がつけられています。
これらの花言葉は、すべてマドンナリリーの名前の由来と同じです。
聖母マリア様の印象がそのまま、花言葉になっています。
マドンナリリーの色別の花言葉
マドンナリリーは、純白な白色の花だけです。
そのため、色別の花言葉はありません。
マドンナリリーの怖い花言葉
マドンナリリーの花言葉はどれも、聖母マリア様を連想させるものばかりで、怖い意味の花言葉はないようです。
マドンナリリー以外のユリには、怖い花言葉を持つものもあるようです。
マドンナリリーの歴史
日本ではあまり親しみのないマドンナリリーですが、起源は古く、紀元前から栽培されていたと考えられています。
紀元前1500年頃の遺跡が見つかった、クレタ島では、マドンナリリーが壁面に描かれています。
いっしょに発掘された、つぼにもマドンナリリーが描かれているそうです。
紀元前2500年頃の古代エジプト時代には、ユリを使った香水が作られていたそうです。
このユリがマドンナリリーだったかは定かではありませんが、おそらくマドンナリリーだったとされています。
東洋では、ユリ(テッポウユリ)を薬として用いていましたが、西洋でもマドンナリリーを薬として利用していました。
ローマ時代の軍隊は、球根や花びらをすりつぶすなどして、軟膏に利用したそうです。
このように、聖母マリア様を連想させる花として親しまれる前から、マドンナリリーは、人々に深く関わっていたことがわかります。
純白で凛とした表情を見せるマドンナリリー。
1輪の花でも十分な存在感を見せます。
美しい姿のマドンナリリーが、鑑賞するだけでなく、香水や薬としても利用されているのは意外性を感じます。
「気品」「永遠の愛」といった花言葉もあるので、贈り物にもピッタリの花ですね。