春になると野山に咲くニリンソウはとても可憐でシンプルな美しさのある花です。
昔からアイヌの人々は山菜として食してきたとされています。
しかし、有毒な植物で葉があの有名なトリカブトに似ていることから注意が必要な花でもあるのです。
目 次
ニリンソウとは
ニリンソウはキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、春山の湿地で生育し、1本の茎から2輪の茎が伸び、3~5月頃に2㎝ほどの白い花を咲かせます。
まれに1輪や3輪のものもあります。
別名「ガショウソウ」「フクベラ」と呼ばれています。
根茎植物のため、一ヶ所に集まって咲くことが多いです。
現在は島根県と高知県では絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
ニリンソウの名前の由来
ニリンソウ(二輪草)は見ての通り、1つの茎から2輪の花が咲くことからつけられました。
漢名で「ガショウソウ(鵝掌草)」と呼ばれているのは葉の形が鵞鳥(ガチョウ)の足の形に似ていることからつけられました。
「フクベラ」ははっきりした由来はわかっていませんが、「福平」という縁起の良さそうな漢字が使われているので、何か良い意味から来る由来があるのではないでしょうか。
英語では「Soft Windflower」と呼ばれており、そよそよとやわらかな風に揺られる花の姿を意味しています。
また、学名ではAnemone(アネモネ)と呼ばれていますが、ギリシャ語で「Anemos(風)」が語源とされています。
ニリンソウが誕生花となる日にち
3月7日
ニリンソウの花言葉
ニリンソウの花言葉は「友情」「協力」「ずっと離れない」です。
これらの花言葉は一つの茎から仲良くそれぞれが二輪の花を咲かすことからきているようです。
「友情」はこの花が咲き出す頃はちょうど卒業シーズンですし、その見た目から親友とのつながりを意味していると言えます。
二つの花が咲いてひとつの花になることも「協力」という意味があり、ぴったりの花言葉です。
これは友人だけでなく、夫婦や親子にも当てはまる花言葉ですね。
一本の茎でつながっている姿は固い絆を感じますので「ずっと離れない」という花言葉も納得できます。
ニリンソウの色別の花言葉
ニリンソウの色はまれにほのかに淡いピンクを帯びたものもありますが、色別の花言葉は特に無いようです。
ニリンソウの怖い花言葉
ニリンソウの怖い花言葉は「予断」です。
「予断」とは前もってそれと判断するという意味ですが、よく使われる言葉で「予断を許さない」という言葉があります。
冒頭でもあるようにニリンソウは猛毒植物のトリカブトの葉によく似ています。
トリカブトの花は紫色で形もニリンソウとはまったく似ていないのですが、葉は初心者の人には判断が難しいようです。
そのようなことからこの怖い花言葉がついたようです。
ニリンソウと似たトリカブトに気をつけよう
ニリンソウは昔から食用として食べられてきました。
アイヌの人たちは葉をスープに入れたり、乾燥させて保存食にしたりしていました。
また、煮出した汁は生薬として怪我をした時などに塗られていました。
しかし、ニリンソウはアルカロイドの毒性を含んでおり、生食をしてしまったり、加熱しても食べ過ぎると胃腸障害が起きたり、肌の弱い人が接触すると皮膚のかぶれや水疱が出たりすることがあります。
また同じキンポウゲ科の猛毒トリカブトとの区別がつきにくいため、誤食事故が起きたこともあるようです。
トリカブト
トリカブトは少量でも口にすると数十秒で呼吸困難、臓器不全などが現れ、命に係わる危険があります。
また、触れただけでも皮膚や粘膜から吸収されるので触わらないように注意しなければいけません。
トリカブトは北東アジアやシベリアあたりで狩猟や軍事に毒矢として使われてきたこともあり、それだけ毒性の強い恐ろしい植物なのです。
そんな危険な植物にとてもよく似ているニリンソウにも毒性があるので山で見かけても摘んだりしない方が無難だと言えるでしょう。