子供の頃、道端や空き地などでムシトリナデシコを目にしたことがある人は多いかもしれません。
しかし当時はその名前や虫を取る特性があるということを知らなかった人もいるのではないでしょうか。
目 次
ムシトリナデシコとは
ムシトリナデシコ(虫取り撫子)はナデシコ科マンテマ属の越年草です。
5~6月頃に一つの枝からピンク色の小花がいくつか集まって咲きます。
一つ一つの花は5枚の花びらからなり、花の下には1.5㎝ほどの筒状の萼がついています。
葉の形は楕円形~卵型で茎の上の方にネバネバした部分があり、この粘液が虫を捕らえます。
ムシトリナデシコはナデシコ科のマンテマ属の植物です。
マンテマ属のことを「シレネ属」とも言います。
この「Silene(シレネ)」とはギリシャ神話の酒神バッカスの養父の名前です。
マンテマ属の植物はネバネバした粘液を出すものが多くあり、シレネが酔いつぶれて泡を吹いた様子に例えられたという説やシレネが飲んだ発泡酒の泡に見立ててついたという説があります。
ムシトリナデシコの名前の由来
ムシトリナデシコの名前の由来は茎の上部にある粘液が虫を捕らえることからつきました。
たしかに虫を捕らえますが食虫植物ではありません。
どのように捕らえるのかと言うと、例えばアリのような小さい虫は花の方へ上がって来れないように茎の所にあるネバネバした粘液でストップさせます。
食虫植物のように虫を消化したりはしませんが、そのような形で花は守られているのですね。
また、別名でコマチソウ、ハエトリナデシコ、ムシトリバナとも呼ばれています。
コマチソウの名前の由来は漢字で「小町草」と書くのですが、可憐で美しい小町のような花姿から来ています。
英語名では「Sweet William Catchfly」と呼ばれていて、訳すと「蠅取り美女なでしこ」という意味があります。
Sweet William とは英語でビジョナデシコ(美女撫子)のことです。
ムシトリナデシコとは少し違い、小花がドーム型のように丸みを帯びて集まって咲きます。
見た目は違いますが、どちらも美しいことには変わりないので、ムシトリナデシコがビジョナデシコに例えられても違和感は無いですね。
そして、Catchflyとは「飛んでいるものをキャッチする」「ハエを捕まえる」などの意味があります。
ハエと言ってもムシトリナデシコに集まる虫はコバエのような小さなものが多いのではないでしょうか。
以上のように海外でも可愛らしい見た目とは裏腹な特性にギャップを感じられているようです。
ムシトリナデシコが誕生花となる日にち
4月16日、4月22日
ムシトリナデシコの花言葉
ムシトリナデシコの花言葉は「罠」「未練」になります。
これはムシトリナデシコの特性から来ています。
何も知らずに美しい花に寄ってみたら、ネバネバした粘液が絡みついて捕まってしまう…まさに罠にはめられたという表現がピッタリですね。
「未練」の花言葉も粘液がベトベトとしつこくまとわりつく様子から来ているのではないでしょうか。
ムシトリナデシコの色別の花言葉
ムシトリナデシコはピンク色の花が一般的ですが、中には白色や赤色もあります。
そして色別の花言葉もあるようです。
赤色の花言葉は「青春の愛」です。
これはベタベタとくっつくことから、ストレートで情熱的な愛情表現をする若い恋人たちに例えてつけられたのではないでしょうか。
白色のムシトリナデシコの花言葉は「裏切り」です。
これは先程述べた「罠」の花言葉と同じく、騙されるというような意味合いがあるのではないでしょうか。
「美しい薔薇にはトゲがある」という言葉がありますが、ムシトリナデシコもそれに似た小悪魔的な要素がありますね。
綺麗な花に惹かれて寄ってみたけれど、なかなか抜け出せない罠(粘液)に引っ掛かってしまうところがそのように感じさせられます。
ムシトリナデシコの怖い花言葉
ムシトリナデシコの怖い花言葉は前述の「罠」や、白色の花言葉「裏切り」が該当するのではないでしょうか。