清々しさを感じさせる青色のブーケや、色とりどりな花畑でデルフィニウムを見たことがある人は多いでしょう。
花の種類がいくつかあり、1つの茎にたくさんの花をつけるものや、茎に対しまばらに花をつけるものなどがあります。
花の見た目からは、同じ花と思えないかもしれません。
清涼感のあるイメージの花ですが、悲しいギリシャ神話にまつわる花でした。
目 次
デルフィニウムとは
デルフィニウムは寒い地域が原産の花です。
原産地と言われているのは、ヨーロッパやシベリア、中央アジア、モンゴル、中国などで、標高が高く、寒冷地が多いです。
寒い地域では地表部分を枯らし、根が地面に残る宿根草として扱われます。
日本のように夏に高温多湿の地域では、地表部分だけでなく、根まで枯れてしまうため一年草とされています。
開花期は5月から6月で、花色は青や紫、白、ピンク、水色、複色などさまざまです。
花のつき方が3種類に分けられます。
1つの茎に間隔を開けて花が咲くシネンセ系、長い茎に密集してたくさんの花をつけるエラータム系、シネンセ系とエラータム系の中間をとるベラドンナ系の3つです。
シネンセ系はモンゴルや中国で主に自生しており、花束やブーケなどに使われることが多い品種です。
エラータム系は、花がとても華やかで、1本でも存在感を示します。
鉢植えやフラワーアレンジメントでも、人気です。
ベラドンナ系は両方の特徴を持ち合わせており、あたり一面に花が咲く花畑はとてもきれいです。
デルフィニウムの名前の由来
デルフィニウムの花の名前は学名、和名ともに、花の見た目が動物ににていることからつけられています。
学名は通称名と同じ「Delphinium(デルフィニウム)」です。
ギリシャ語で「Delphis(デルフィス)」と書かれるイルカに由来します。
デルフィニウムがつぼみのとき、イルカを横から見た姿に似ているためこの名前がつけられました。
デルフィニウムには現在ほどんど呼ばれることがない、「大飛燕草(オオヒエンソウ)」という和名がついています。
名前の漢字からも分かるように、燕(つばめ)に関係があります。
デルフィニウムの花が開いた形が、羽を広げて空を飛んでいる燕の形に似ているため、名づけられたそうです。
西洋名は「larksper(ラークスパ)」で、鳥類のひばりを意味する「Lark(ラーク)」に由来します。
こちらも羽を開き空を羽ばたく姿が、デルフィニウムの花が大きく開く姿に似ているためつけられたそうです。
どことなく、ひばりを横から見た姿と、花のつぼみにも似ているように感じますね。
デルフィニウムが誕生花となる日にち
3月23日、4月19日、5月20日、6月6日、11月14日
デルフィニウムの花言葉
デルフィニウムの花言葉は、「清明」「寛大」になります。
西洋の花言葉は「big hearted(寛大)」「fun(楽しみ)」などがあります。
デルフィニウムの花言葉と言われると、1番に出てくるのが「清明」です。
清明には、清らかで一点の曇りのない様子という意味があります。
デルフィニウムのさわやかな花色が、曇りがなく清々しいため、つけられたそうです。
西洋の花言葉と共通する「big hearted(寛大)」は、デルフィニウムの代表的な花色の青にちなみます。
デルフィニウムの青色は海のよう深く重厚感があります。
海の広さに見立てて、懐が深いことをあらわし、「寛大」とつけられたようです。
デルフィニウムの色別の花言葉
デルフィニウムの花言葉は花色によって、好印象な意味と贈り物には合わない嫌悪感をもつ花言葉があります。
青色のデルフィニウムは、「高貴」「壮大な心」「あなたは幸福をふりまく」などです。
花嫁のブーケにも使われるとあって、素敵な印象の花言葉がつけられています。
ヨーロッパの言い伝えでは、花嫁が青いものを持つと、幸運が訪れると言われています。
このことにちなみ、「あなたは幸福をふりまく」などの花言葉がつけられたようです。
同じくポジティブな印象の「澄んだ瞳」という花言葉がつけられているのが、水色のデルフィニウムです。
淡く清らかな花色が、透き通っている瞳にたとえられたのでしょう。
紫の花言葉は「高貴」です。
深く落ち着きのある紫色は、品が良く、大人な印象からつけられたそうです。
白色のデルフィニウムは「可憐な瞳」「誰もがあなたを褒める」です。
真っ白で、かわいらしい印象を持つ、白色のデルフィニウムは、かわいい無垢な女の子を連想させたのかもしれませんね。
暖色のデルフィニウムは、プレゼントには避けたい花言葉がついています。
赤色は「無いものねだり」、ピンクは「自由気まま」「心変わり」、黄色は「移り気」です。
暖色の花色で、周囲を明るく彩る印象を受けるため、少し悪い印象の花言葉がついているとは意外です。
デルフィニウムの怖い花言葉
デルフィニウムは、寒色は素敵な女性を連想させる花言葉がついています。
しかし暖色は、少しわがままな印象がある花言葉がついていました。
実は、デルフィニウム全体の花言葉にも、少し嫌悪感をもつものがあります。
それは、「ardent attachment(激しい愛着)」「傲慢」です。
デルフィニウムは、自分が幸せであることや、心が広いことを表現されています。
しかし、幸せや心が広いことを、ひけらかしているという印象が持たれたようです。
そのため「傲慢」などといった花言葉がつけられました。
デルフィニウムの言い伝え
デルフィニウムには、名前の由来ともなっている、イルカに関係するギリシャ神話があります。
オルニトプスという少年が海で遊んでいたところ、おぼれていまいました。
そこへ、イルカたちがやってきて、おぼれていたオルニトプスを助けます。
オルニトプスは助けてくれたイルカと友達になりました。
ある日、オルニトプスは地元の漁師たちが、漁の妨げになるイルカを捕獲しようとしている計画を知ってしまいます。
自分を助けてくれたイルカたちを、今度は自分が助ける番だと思い、漁師たちがイルカを捕まえるのを阻止しました。
オルニトプスが妨害したことを知った漁師たちは、オルニトプスを海に沈め殺してしまいます。
イルカたちは、自分たちを逃がしたことで殺されてしまったオルニトプスを哀れみ、神様に祈りを捧げ続けました。
イルカたちの想いをくみ取り、神様はオルニトプスを海のような深い青色のデルフィニウムに生まれ変わらせたのです。
「寛大」や「壮大な心」とい花言葉は、このギリシャ神話に繋がると事があるのかもしれませんね。
青色のデルフィニウムは、落ち着きがあり清らかな印象です。
花嫁のブーケに使われることが納得できるような、清涼感のある花色と素敵な花言葉がついています。
華麗で花束などにボリュームを与えてくれるデルフィニウムですが、花色によっては悪い印象を与えるものもあるので、贈り物にするときには気を付けたいですね。