▪はじめに
地球上には多くの菌が存在しています。
それらの菌にはそれぞれの働きがあり、その一部には私たち人類に役立つ働きを持ったものもあります。
そんな菌たちがかわいいキャラクターとして見え、菌たちの声を聞くことができる能力を持った少年を中心とした漫画「もやしもん」に関する記念日が菌労感謝の日です。
目 次
菌労感謝の日とは
菌労感謝の日は、毎年7月8日にあります。
この記念日は、漫画雑誌「イブニング」(講談社刊)に連載されていた「もやしもん」のテレビドラマ化を記念して、ドラマ「もやしもん」製作委員会が2010年(平成22年)に制定したものです。
「もやしもん」とは、漫画雑誌「イブニング」に2004年から2013年、「月刊モーニングtwo」に2013年から2014年に連載されていた石川雅之氏による漫画作品です。
世の中に存在する菌をかわいいキャラクターとして見ることができる主人公・沢木惣右衛門直保を中心に、彼が通う農業大学での学園生活を描いた作品です。
「もやしもん」とは、主人公・沢木の実家が「もやし屋」と呼ばれる種麹(酒や醤油・味噌などの麹)を育てる職業が由来となっています。
醸造や発酵など菌に関する知識や農業に関する雑学などが豊富に描かれていて、幅広い世代に人気の作品で、アニメ化やドラマ化されただけでなく、菌のキャラクター・オリゼー(黄麹菌)を主人公にした絵本も発売されています。
▪意味
菌労感謝の日は、「菌」が人類に貢献していることに感謝する日として制定された記念日です。
▪由来
菌労感謝の日が7月8日なのは、2010年(平成22年)7月8日にドラマ「もやしもん」の第1回が放送されたことに由来しています。
▪イベント
菌労感謝の日に関する毎年行われているイベントは、残念ながら見つけることができませんでした。
しかし、2021年(令和3年)に、「もやしもん」と東京農業大学の学生が開発した純米大吟醸「農学原酒」のコラボしたクラウドファンディングが実施されました。
これは、日本酒を気軽に楽しんで貰いたいという思いから始まった日本酒プロジェクト「Ichi-Go-Can(いちごうかん)」のプロジェクトの1つで、新型コロナウイルス感染拡大による飲食店やイベントの自粛などで日本酒の消費量が著しく低下したことから、日本酒を知ってもらう入り口として企画されたものです。
過去のイベントは、東京農業大学の学生が開発した「農学原酒」の缶に「もやしもん」に登場する菌のキャラクターたちが描かれたコラボ缶をクラウドファンディングの返礼品として参加者に届けるというものでした。
「Ichi-Go-Can」公式サイト https://ichi-go-can.jp/
「もやしもん」の雑学
<もやしもんに登場する主な菌とは>
漫画「もやしもん」には、色々な菌のキャラクターが登場します。
そこで今回は、もやしもんに登場する菌の一部を紹介していきましょう。
A.オリゼー
「もやしもん」の中では、菌界の主役で、主人公の沢木とは実家の蔵で沢木が子供のころから遊んでいた幼馴染的な菌です。
作中に登場する菌の中で1番よく喋り、沢木にアドバイスをしたりからかったりしています。
オリゼーの正式名称は「アスペルギルス・オリゼー」、和名を「ニホンコウジカビ」といい、麴菌の仲間の黄麹菌です。
日本では一番有名な菌で、日本酒や味噌・醬油などの日本の麴の9割以上にいて、日本の国菌として認定されています。
オリゼーは、50℃前後で活性化し、デンプンやタンパク質を糖に分解する働きがあります。
A.ソーエ
オリゼーと仲良しで、よくオリゼーとコンビを組んで沢木をからかっています。
ソーエの正式名称は「アスペルギルス・ソーエ」、和名を「ショウユコウジカビ」といい、麹菌の一種です。
オリゼーとは近縁で、オリゼーよりもタンパク質を分解する働きが強くアミノ酸に分解する働きがあります。
セレビシエ
沢木の幼馴染の結城蛍の実家が造り酒屋なので、彼によくくっついています。
正式名称は「サッカロミケス・セレビエシ」、和名を「出芽酵母」といい、酵母の一種です。
糖を代謝しアルコール発酵を行う働きがあり、日本酒やビールなどを作るのに欠かせない微生物です。
ヨグルティ
日本のヨーグルトの中にいて、沢木にはちょんまげを結った和風なキャラクターに見えている菌です。(因みにブルガリアで発見されブルガリアヨーグルトにいるL.ブルガリクスは触覚が2本生えたような姿で見え、沢木が日本とブルガリアのヨーグルトを見分けるシーンに登場した)
正式名称は「ラクトバチルス・ヨグルティ」で乳酸菌の一種です。
糖を分解して乳酸を作る働きがあり、日本のヨーグルトや乳酸菌飲料などに入っています。
クリソゲヌム
「もやしもん」に中では、空中に漂っていてパンやお餅をカビさせたり、巻末マンガでオリゼーと共に広報を担当したりしています。
オリゼーたちアスペルギルス属の仲間で、オリゼーたちとは仲良しです。
正式名称は「ペニシリウム・クリソゲネム」でいわゆる「青カビ」のことです。
不完全菌の1つで、300種類以上あるとされています。
パンや餅などにすぐ生えてダメにしてしまいますが、一方では抗生物質のペニシリンが発見されたりゴルゴンゾーラなどのチーズの製造に用いられたりと人間に貢献もしています。
フルクチボランス
日本酒を腐らせる菌で、作中ではこの菌のせいで蛍の実家の酒が腐ってしまい、働いていた杜氏が自殺したという過去があり、蛍が敵視している菌です。
正式名称は「ラクトバチルス・フルクチボランス」、和名は「火落ち菌」といい、乳酸菌の一種です。
日本酒を作る際にコウジカビが作り出すメバロン酸が好物で日本酒を腐らせてしまう働きがあります。
火落ち菌によって日本酒が腐ってしまうことを「火落ち」と言いますが、火落ちが起きないようにするために平安時代から「火入れ」という加熱殺菌が行われてきましたが、不衛生な木樽では内部まで完全に殺菌することができず、度々起こっていました。
1度起きると何年にも渡って影響を及ぼすため、廃業に追い込まれる蔵元もあったそうです。
そのため、蔵元で働く人たちは日本酒造りの期間中ヨーグルトやチーズ、キムチなどの乳酸菌製品を避けるというしきたりがあります。
<「もやしもん」のキャラクターが誕生したのは追い詰められた編集者の一声から?>
菌が見える少年を主人公にした漫画「もやしもん」は、各菌のキャラクターの可愛さや菌にまつわる知識を分かりやすくコミカルに紹介した内容で人気となった作品です。
そんな「もやしもん」はどのように誕生したのでしょうか?
じつは「もやしもん」の菌のキャラクターたちは、最初から考えられていたわけではなかったのだそうです。
もともと、2004年7月20日発売の「イブニング」から作者の石川雅之氏の連載が始まることが決定したのが先で、連載決定した時点ではまだどんな内容にするかすら決まっていなかったそうです。
そこで、はじめに考えられたのは農大生を登場させること。
それを軸に何度もネームを考えて提出するものの、編集長からことごとくボツにされてしまったそうです。
期限も迫ってきたし、追い詰められた石川氏は、担当編集者に「何が悪いんですか?」と食って掛かったところ、「俺もわからんよそんなん、菌を見えるようにでもすればいいんじゃないの」という答えが返ってきたのだとか。
石川氏は「なんだそりゃ」と思いながらも、丸を描いて目をちょんちょんと付けただけの菌のキャラクターを描いて編集部に送ったところ、編集長からすぐにOKが出たそうです。
その後無事に連載が開始したものの、編集長から「事件は起きないの?」「リアルな菌より、世界を滅ぼし人類を脅かす謎の菌を出して」などの厳しい注文が相次いだそうですが、石川氏と担当編集者はそんなことをしても面白くないと考え、自分たちだけで読者アンケート1位を取ることを決意します。
そして、編集長が長期休暇で海外旅行に行っている間に、2人だけで死ぬ気でプロットを考えた作品が堂々1位を取ったのです。
こうして人気作品となった「もやしもん」は、第12回手塚治虫文化賞マンガ大賞・第32回講談社漫画賞一般部門・平成20年度醤油文化賞・第46回星雲賞漫画部門など、数々の賞を受賞しました。
▪まとめ
「もやしもん」連載当時はとても人気があり、ゲームセンターのクレーンゲームなどでオリゼーたちのキャラクターグッズをよく目にしました。
私も原作を読んだことはありませんでしたが、ドラマは楽しみに見ていたことを覚えています。
身近な菌から病原菌に関することまで分かりやすく描かれているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
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