ニガヨモギの花は小さく下向きに咲くため、控えめな印象ですが、古くから色々なものに利用され、注目されてきた植物です。
目 次
ニガヨモギとは
ニガヨモギ(苦蓬)はキク科ヨモギ属の多年草です。
原産地はヨーロッパ、北アメリカ、中央アジアから東アジアなどに分布しています。
全体的に白い毛で覆われていて、7~9月頃になると黄色い小花がたくさん集まって咲きます。
苦みと強い香りがあり、薬草、お酒、虫よけなど様々なものに利用されています。
ニガヨモギの名前の由来
ニガヨモギは葉が白みを帯びた緑色をしています。
それがよもぎの葉に似ていることと苦みがとても強いことからこの名前がつきました。
また、英語名では「ワームウッドworm wood(虫の木)」と呼ばれており、これはエデンの園から追い出された蛇が這った所に、ニガヨモギが生えたいう伝説が由来となっています。
しかし、別説では、ニガヨモギが天然の駆虫剤として使われていたからという説もあります。
学名では「アルテミシア」と呼ばれており、狩猟と月の女神「アルテミス」が由来とされる説とカリアのマウスロス王の妻であるアルテミシア王妃が由来とされる説があります。
生薬名では「苦艾(くがい)」と言い、胃腸薬、鎮痛薬として使われてきました。
しかし、取り過ぎると中毒症状を起こすので注意が必要です。
ニガヨモギが誕生花となる日にち
6月7日、7月26日
ニガヨモギの花言葉
ニガヨモギの花言葉は「不在」「離別と恋の悲しみ」「冗談」「からかい」です。
「不在」の花言葉はニガヨモギはアブサン酒というお酒の原材料になっており「absent」は「不在」という意味があることからつきました。
アブサン酒はスイスで発祥し、ヨーロッパ各地に広まった薬草系のお酒です。
本場のアブサン酒はニガヨモギの他にアニス、ウイキョウ、セイヨウヤマハッカ(メリッサ草)、ミント、ヤナギハッカ(ヒソップ)など複数のハーブや香辛料から出来ています。
独特な香りでアルコール度数がとても高く「悪魔の酒」とも呼ばれていました。
芸術家達を虜にしてきましたが、絵が売れない貧しい画家時代は粗悪なアブサン酒をよく飲んでいたそうです。
しかし、ニガヨモギに含まれる「ツヨン」という成分が脳の神経に悪影響を及ぼし、幻覚作用などが表れることがあった為、販売禁止になりました。
自然の原料で作られていますが、このような強い作用が表れたりするので、どの薬草も安心というわけではないのですね。
「離別と恋の悲しみ」の花言葉は学名の由来になっている王妃アルテミシアが、夫であるマウソロス王が亡くなった時、彼の骨灰をニガヨモギの飲み物に混ぜて飲んだことが由来となっています。
カリスでは統治者は姉妹と結婚する慣習があり、アルテミシアはマウソロス王の妻であり、実は妹でもあったのです。
悲しい花言葉ですが、のちにアルテミシアも亡くなり、古代世界七不思議にもなっているマウソロス霊廟(れいびょう)に二人は一緒に眠ることが出来ました。
「冗談」「からかい」の花言葉ははっきりとした由来はわかっていません。
他の花でもあまり聞くことのない花言葉ですね。
ニガヨモギの色別の花言葉
ニガヨモギの色別の花言葉は特に無いようです。
ニガヨモギの怖い花言葉
ニガヨモギの怖い花言葉は特に無いようです。
ニガヨモギの言い伝え
ニガヨモギは魔女のハーブとも言われてきました。
ベッド周りに葉を飾って媚薬として使われたり、ハリーポッターの物語の中では眠り薬として登場してきたり、車に吊るしておくと事故に合わないというおまじないもあります。
そして、ニガヨモギは聖書にも登場しています。
新約聖書「ヨハネの黙示録」の中では以下のようなことが書かれています。
「第3の天使がラッパを吹くと「ニガヨモギ」という名の燃える大きな星が空から落ちてきた。
川の3分の1と水源との上に落ちたため、水が苦くなり、そのために多くの人が死んだ」
この「ニガヨモギという名の大きな星」が何を表しているかは、色々な推測があるようです。
このように、ニガヨモギは古くから歴史や宗教と深く関わってきた植物だったようです。