日本三大祭の「祇園祭」や「天神祭」で飾られる、檜扇(ひおうぎ)。
生け花などでも、利用されることが多いです。
目 次
檜扇(ひおうぎ)とは
日本や中国、インド、朝鮮半島が原産で、アヤメ科アヤメ属の多年草です。
元々は、ヒオウギ属とされていましたが、DNA解析を行った結果、2005年にアヤメ属へ変わりました。
日本にも自生しているだけあり、厳しい暑さや寒さに強く、庭植えの植物として家庭でも栽培される植物です。
自生しているものの草丈は、1m程度にまで成長します。
管理されている株は、40㎝程度と低いものが多いです。
細く長い葉っぱが特徴で、葉っぱが生い茂る中から、細い茎が伸びます。
花はオレンジやピンク、紫、黄色などの花色があり、上向きに花開きます。
花が見られる時期は7月から8月で、基本的に花開くと1日でしぼむ一日花。
しかし、1つの株にたくさんの花がつき、次々に咲くので開花期の間楽しむことができます。
開花期が終わると、袋状のさやができ、中に黒い種ができるのも特徴です。
檜扇(ひおうぎ)の名前の由来
日本ならではのものが由来となり、つけられた名前が「檜扇(ひおうぎ)」です。
平安時代に宮中で使われていた、木製の扇のことを檜扇と呼びます。
ひな人形の女雛が持っているものが檜扇です。
花の名前に使われた理由は、花の葉っぱが何枚も重なり合う様子が、木製の檜扇に似ていたからです。
西洋では、「Leopard flower(レパード フラワー)」と呼ばれます。
「Leopard」とは、ヒョウのことを表します。
檜扇の花びらには、まだら模様が特徴的であることから、「Leopard flower」とつけられたのでしょう。
また帰化植物として扱っている北アメリカでは、「Blackberry lily(ブラックベリー リリー)」と呼びます。
これは、花の咲いた後に、真っ黒の種ができるからです。
檜扇(ひおうぎ)が誕生花となる日にち
8月15日、8月25日
檜扇(ひおうぎ)の花言葉
「個性美」「誠意」「誠実」が、檜扇の花言葉です。
「個性美」という花言葉は、西洋名の由来でもある、花のまだら模様にあります。
独特なまだら模様の花びらが、他にない個性的なものであることから、つけられました。
木製の扇である檜扇は、宮中で使われるものであったとされています。
現在では神職などで利用されるものです。
神聖な場所で使われる木の扇から、「誠意」や「誠実」といった花言葉がつけられたのかもしれませんね。
檜扇(ひおうぎ)の色別の花言葉
オレンジや黄色、赤などの暖色から紫色の寒色系の色もある檜扇。
さまざまな花色はありますが、色別の花言葉はないようです。
檜扇(ひおうぎ)の怖い花言葉
檜扇は花びらの柄が、少し毒々しい見た目です。
怖い花言葉がつけられていそうですが、実際には好印象の花言葉ばかりです。
檜扇(ひおうぎ)は魔除けの花
京都で毎年夏に開催される、「祇園祭」には檜扇の花が飾られます。
祇園祭が始まったきっかけは、1100年以上も前にさかのぼります。
貞観5年頃から9年にかけて、疫病の流行、富士山の噴火、地震、津波などさまざまな災いにみまわれました。
これらの災いをしずめるために、厄災除去を祈願したのが祇園祭です。
檜扇の花は、他の花に比べ病気にかかりにくかったため、魔除けの花として飾られるようになりました。
大阪天満宮で行われる天神祭でも、檜扇の花が飾られます。
天神祭も祇園祭と同じころに始まりました。
こちらは、身のけがれや罪を落とすためのお祭りです。
禊祓いの神事に、魔除けの花として檜扇が飾られています。
栽培地域は、名古屋より西の地域で、特に徳島県では盛んに栽培されてきました。
生花として販売されているもののほとんどが、徳島県神山町のものと言われています。
神山町では特産品とされ、今でも栽培されている花ですが、一度は全滅の危機がありました。
病気にかかりにくい花であることから魔除けの花とされた檜扇ですが、生産が始まってから21年後の1976年にウイルス病にかかりました。
全滅の危機でしたが、技術開発などにより持ち直し、特産品へとなりました。
葉っぱが生い茂り、花びらの柄が独特な檜扇。
魔除けの花であることは、知らない人も多いかもしれませんね。
「祇園祭」や「天神祭」へ行ったときには、飾られている檜扇を探してみてはいかがですか。