日本の都市名が、花名になっている珍しい花です。
キキョウに似た花が咲くヤツシロソウは、山間部や草原などが生息場所といわれます。
同属の花はたくさん存在するようですが、日本に自生する物は少ないようです。
目 次
ヤツシロソウとは
キキョウ科ホタルブクロ属の花であるヤツシロソウ。
ヤツシロソウは日本や中国、朝鮮半島などが原産です。
湿気のある場所を好み、山や草原などで自生しています。
基本的に多年草の花ですが、夏の暑さや乾燥が苦手なため、ときに一年草として扱われることもあるそうです。
5月から9月に開花期をむかえ、紫色の花を咲かせます。
まれに、白色の花もあるようです。
1つの長く伸びた茎の先端に、複数の花を上向きにつけます。
花の形はキキョウのようですが、キキョウよりも花びらが細く、先端がしっかり反り返ります。
ヤツシロソウの名前の由来
「八代草（ヤツシロソウ）」は、日本の地名が名前につけられた花です。
熊本県八代市で採取されたことから、ヤツシロソウと名づけられました。
熊本県では指定保護植物にされています。
西洋名は、「Clustered bellflower（クラスタード ベルフラワー）」です。
「Clustered」は密集する、「bellflower」が鐘のような花という意味です。
ヤツシロソウの花は、鐘のような形をしています。
その花が、茎の先にいくつも咲くことから、「Clustered bellflower」となったのでしょう。
「Campanula glomerata（カンパニュラ グロメラータ）」が学名です。
この名前も、花の見た目が由来です。
「Campanula」は属名でもあり、鐘の意味があります。
「glomerata」は密に集まったという意味で、花が密集して咲くことが由来です。
西洋名、学名どちらも、花の見た目に由来する名前がつけられていました。
ヤツシロソウが誕生花となる日にち
8月20日
ヤツシロソウの花言葉
「誠実」「従順な人」「感謝」などがヤツシロソウの花言葉です。
花の見た目が、教会にある鐘のような形に見えたそうです。
そこで、神聖な場所にちなみ、「誠実」「従順な人」といった花言葉がつけられたと言われています。
ヤツシロソウの色別の花言葉
花色は紫が一般的ですが、白や青の花もあります。
しかし、特別に色別の花言葉はなく、全体の花言葉と区別されないようです。
ヤツシロソウの怖い花言葉
「誠実」や「従順な人」などいい意味の花言葉がつけられているヤツシロソウ。
怖い印象の花言葉は、つけられていないようです。
ヤツシロソウの言い伝え
日本原産のヤツシロソウは、熊本県八代市で見つけられた花です。
現在は八代市民の花とされていますが、八代市内で見ることは難しいです。
そんなヤツシロソウの名前の由来は、八代市で見つけられた以外にもあります。
江戸時代には地方から江戸へ向かう、参勤交代の制度がありました。
熊本の八代城主である松井家も、江戸に参勤交代へ行きます。
参勤交代のときに、献上した花として、ヤツシロソウが選ばれたそうです。
この時に「ヤツシロソウ」と命名した、という言い伝えがあります。
ヤツシロソウはホタルブクロ属の花です。
ホタルブクロ属の花は世界に300種程度あるとされていますが、日本にはヤツシロソウを含め5種が存在します。
チシマギキョウ、イワギキョウ、ホタルブクロ、シマホタルブクロです。
チシマギキョウは北海道の千島で発見された種で、背丈が低いのが特徴です。
花言葉は「誠実な愛」「貞節」「忠実」などです。
イワギキョウは、高山地帯に咲く花で、岩場に自生しています。
「誠実な愛」「感謝」「美点の持ち主」などが花言葉です。
ホタルブクロは、下向きに花をつけ、鈴のような見た目をしています。
花言葉は「正義」「忠実」などです。
シマホタルブクロは、伊豆諸島固有の花で、ホタルブクロに似た見た目をしています。
シマホタルブクロという花には、花言葉はないようです。
1本の茎の先にたくさんの紫色の花が咲くヤツシロソウ。
日本では絶滅危惧に指定されるほど、数が減少しています。
熊本県にはまだ、生息している場所があるようなので、1度ヤツシロソウを見てみたいですね。