ホウセンカの花を育てたことがある人は多いでしょう。
花の形が独特で、風になびくと空を羽ばたく鳥のようです。
そんな美しい姿のホウセンカには、悲しいギリシャ神話がありました。
目 次
ホウセンカとは
ツリフネソウ属の一年草で、インドやマレー半島を中心とする東アジアが原産です。
今では世界の各地で栽培される花で、日本でもなじみ深い花です。
花は一年草ですが、こぼれ種で翌年も花がつきます。
寒さには弱いですが、比較的丈夫な花です。
葉っぱはフチがギザギザしており、太く直立した茎に交互につきます。
花は5枚の花びらからなり、上の2枚の花びらは小さいです。
原種の花色は赤ですが、園芸品種も多く、赤以外に、白、紫、ピンクなどの花色があります。
ホウセンカの名前の由来
室町時代に中国から伝えられたホウセンカは、名前も中国が由来。
「鳳仙花」は元々中国名で、これを音読みしたのがホウセンカです。
中国で「鳳仙花」とつけられたのは、花びらの上が小さく、下が大きい形が関係していると言われています。
花の形は、中国の神話に出てくる「鳳凰(ホウオウ)」が、羽根を大きく広げ羽ばたく姿に見えたそうです。
日本では「爪紅(ツマベニ)」や「骨抜(ホネヌキ)」という別名がつけられています。
「ツマベニ」は赤色の花から出る汁で爪を染めたことにちなみます。
赤く染めた爪が、初雪が見れるまで残っていると、恋が成就するという言い伝えがあったそうです。
昔は、ホウセンカの種をかまずにのみ込むと、喉に刺さった骨が抜けるという言い伝えがあり、そこから「ホネヌキ」と呼ばれるようになったとも言われています。
学名「Impatiens balsamina(インパチエンス バルサミナ)」は、ホウセンカの種がはじけとぶことに由来します。
学名につけられた「Impatiens」は、ラテン語が語源です。
実がふくれあがり、中の種がはじけとぶのを我慢できないことから、がまんできないの意味がある「impatient」からつけられました。
「balsamina」は、ホウセンカの意味を持つラテン語です。
西洋では「Rose balsam(ローズ バルサム)」という名前です。
「balsam」は、学名の「balsamina」に由来すると言われています。
ホウセンカの実がはじけとぶことから、「touch me not(タッチ ミー ノット)」という名前もあるそうです。
ホウセンカが誕生花となる日にち
7月29日、8月27日、9月8日、9月18日、10月19日
ホウセンカの花言葉
「快活」「挑戦」「魔除け」「繊細」などがホウセンカの花言葉です。
「ardent love(燃えるような愛)」という西洋の花言葉もつけられています。
「快活」とは、明るく元気が良いことを表す言葉です。
ホウセンカの花は暑い夏でも、しっかり丈夫に育ちます。
花色が明るく、風が吹くと鳥のが羽ばたくように見えるため、つけられたのでしょう。
沖縄の家庭では、毒を持つヘビであるハブの侵入をふせぐために、ホウセンカを植えるそうです。
このことから「魔除け」とつけられました。
ホウセンカの色別の花言葉
ホウセンカの原種は赤色のだけですが、園芸種にはピンクや白、紫などの花色があります。
しかし、色別の花言葉は、つけられていません。
ホウセンカの怖い花言葉
花が咲いた後にできる実は、熟すとはじけとびます。
その様子から「せっかち」「短期」「私に触れないで」と言った花言葉がつけられました。
ホウセンカの言い伝え
ホウセンカには、少し悲しいギリシャ神話があります。
あつとき、宮殿で神々を集めた宴会がありました。
神々への贈り物として、黄金のリンゴがふるまわれます。
しかし、黄金のリンゴが1つだけ盗まれてしまいました。
そのリンゴを配っていた女神が、疑いをかけられ、王様から追放されてしまいます。
女神は無実でしたが、その真実を照明することができませんでした。
真犯人を探すことに尽力しましたが、とうとう犯人が見つかる前に力尽きてしまいます。
無実をはらせない無念さから、自らのなきがらをホウセンカの花へと変えました。
ホウセンカが実を熟し種を飛ばすのは、無実であると訴えているためだそうです。
無実であるのにいつまでも容疑がはれず、認めてもらえないのは、とても悲しいですね。