緑色をしたボール状のヤドリギは色々な木の枝に寄生し、ぶら下がるようにたくさんつきます。
まるでツリーに飾り付けがされているようにも見えます。
目 次
ヤドリギとは
ヤドリギ(宿り木)はヨーロッパ、アジアなどに分布しているビャクダン科ヤドギリ属の寄生植物です。
ヤドリギ自体の木は無く、桜、ブナ、ケヤキ、ナラ、エノキ、栗などの落葉樹の幹や枝の中に根を下ろし、球状に寄生するのが特徴です。
葉は緑色で、11~12月頃に白~淡黄色の実をつけ、2~3月頃になると黄色の小さな花が咲きます。
繁殖方法は実を鳥が食べると、フンの中から出てきた粘液が樹皮に張り付き、そこから発芽します。
ヤドリギの名前の由来
「ヤドリギ(宿り木)」という名前は自ら光合成をする以外に、他の樹木に寄生し、そこから養分を取り生長していく特性からきているようです。
そのため「寄生木(やどりぎ)」という漢字が当てられることもあります。
学名では「Viscum album」と呼ばれ、「Viscum」は「トリモチ(鳥黐)」、「album」は「白い」という意味があります。
「トリモチ(鳥黐)」とは鳥や昆虫を捕まえるときに使う粘着状の物質で、木の枝や竿に塗り、付着させて捕獲します。
ヤドリギの実の中にもこのような粘り気のある液が含まれていることから、この学名がつきました。
別名では「寄生(ほや、ほよ)」と呼ばれることもあります。
ヤドリギが誕生花となる日にち
2月12日、12月24日
ヤドリギの花言葉
ヤドリギの花言葉は「困難に打ち勝つ」「忍耐」「私にキスして」です。
「困難に打ち勝つ」「忍耐」の花言葉は厳しい冬の間でも緑の葉が茂っていることからつきました。
通常、冬には枯れてしまう植物が多い中、ヤドリギの葉は生き生きとした緑色を保っています。
「私にキスして」の花言葉は主に西洋で言われている花言葉です。
古くから西洋ではヤドリギの木の下に立っている女性とキスをするという風習があったことからこの花言葉がついたようです。
女性がキスを拒むと翌年は結婚できないという言い伝えもあります。
そして、クリスマスに男女がヤドリギの木の下でキスをすると、幸せな結婚ができるというロマンチックな話もあります。
ヤドリギの色別の花言葉
ヤドリギの色別の花言葉は特に無いようです。
ヤドリギの怖い花言葉
ヤドリギの怖い花言葉は特に無いようです。
ヤドリギの言い伝え
昔、ケルト人はヤドリギを神聖な植物とし、ヤドリギのある木の下で儀式を行なっていたそうです。
また、元来は大木だったヤドリギがキリストの十字架に使われたことを恥じて、他の低木に宿るようになったという言い伝えがあります。
この他にもヤドリギに関する北欧神話があります。
「光の神バルドルの母はこの世の全ての生物にバルトルを傷つけたりしないように約束させました。
しかし、ヤドリギの実だけは若すぎて約束が出来ませんでした。
それを知ったいたずらな神ロキが、バルドルの弟を使ってヤドリギを投げつけさせます。
そして、バルドルは亡くなってしまったということです。」
そして、日本でも古くからヤドリギは全国各地に自生しています。
万葉集の中で大伴家持がヤドリギのことを詠んだ歌があります。
「あしひきの山の木末の寄生(ほよ)とりて 挿頭しつらくは 千年寿くとそ」
訳すと「山の木の梢の寄生木(やどりぎ)を取って 髪に挿すのは 千年の命を祝ってのことです」という意味になります。
当時、富山県の高岡に赴任していた家持が、ヤドリギを髪に挿すと長生きするという地域の風習があったことからこの歌を詠んだそうです。
このように海外だけでなく、日本でもヤドリギは特別な存在とされてきました。
繁殖方法も独特で簡単に人間の手によって育てられる植物ではないようです。
そこもまた神秘的ですし、宙に浮いているようにも見える姿も不思議な魅力がありますね。