世界で「公爵」や「伯爵」、「男爵」といった有名な貴族の称号がありますが、実は貴族の称号だけでなく、準貴族の称号というものがあります。
主に貴族の称号は五爵、五等爵から構成されているのですが、準貴族の称号である、「準男爵」、「士爵」も合わせて7爵位として扱われる場合もあります。
しかしこの準貴族の称号は、「準男爵」や「士爵」といったものがありますが、ご存知の方も少なく、実際どのような功労や功績によるものか、どのような意味合いがあるのかなど詳しくご存じない方が多いので、この準貴族の称号とされている「士爵」についてご紹介していきたいと思います。
目 次
士爵(ナイト・騎士)とは?意味や由来
先ほども少し触れましたが士爵は準貴族の称号の一つとされています。
この士爵は「ししゃく」と読みますが、貴族の称号にも伯爵の下で、男爵よりも上の階級である「子爵」とも同じ呼び方なのでごっちゃにならないようにご注意ください。
士爵は通称「ナイト」や「騎士」と呼ばれることが多いですが、英国での個人的功績や国家的功労、貢献を成した人に卿(サー)の称号を襲号されます。ですが、この準貴族の称号は実は他の外国では使われることなく、主に英国のみでの使用とされています。
この士爵はご紹介したように準貴族の称号で、貴族の称号と大きな違いがあります。
というのも貴族の称号である五爵、「公爵(こうしゃく)」「侯爵(こうしゃく)」「伯爵(はくしゃく)」「子爵(ししゃく)」「男爵(だんしゃく)」は上流階級、下流階級はありますが5つの爵位(貴族の称号の序列化)は全部貴族に襲号されます。
一方、準貴族の称号でもある「準男爵」や「士爵」は正確には貴族ではなく、平民の方で、国家への貢献で爵位を受けます。
そのため、準貴族の称号とされる「準男爵」や「士爵」は平民である貴族院にも議席を持っていないです。
ですが、「準男爵」や「士爵」は平民であるものの準貴族の称号を襲号されているので、準貴族の扱いとされるため、貴族名鑑に乗り、名誉ある形で名を残すことができます。
そんな「士爵」ですが、最初に触れたように五爵にプラスされた七爵に含まれるのですが、位置づけとしては一番下で、準男爵の下の階級とされています。
この「準男爵」と「士爵」は準貴族の称号とご紹介しましたが、実はこの二つでも大きな違いがあります。
というのも準男爵は世襲(せしゅう)することができ、「準男爵」という称号の地位や財産、階級などを子々孫々と引き継いでいくことできます。
ですが、「士爵」は一代貴族とされ、世襲することができず、子々孫々と引き継ぐことができない称号とされています。
このように「準男爵」と「士爵」の同じ準貴族の称号でも大きな違いがあります。
さらにこの士爵は「ナイト・騎士」として呼ばれることも多く、士爵の中でも多くの種類や等級に分かれます。
士爵の中でも最高位とされるのがKnights of the Garter (ガーター勲爵士)で、最下位とされるのがKnight Bachelor(下級勲爵士)となります。
イギリスでの英語の読み方(男性・女性)
この士爵は騎士として読まれることもありますが、両方ともKnight(ナイト)と読まれます。この士爵、ナイトは男性のイメージも強いと思いますが、女士爵、女騎士の場合でもKnight(ナイト)と読まれます。
この女士爵の場合は本人が当主であり、士爵の配偶者の場合、妻はLady(レディ)の敬称で呼ばれます。
さらに士爵や女士爵でも敬称があり、士爵はSir(サー)、女士爵はDame(デイム)で呼ばれます。
この敬称はファーストネームと苗字にプラスして呼ばれることが多いです。
このような士爵の卿(「サー」や「デイム」)は同じ準貴族の称号でもある「準男爵」と同じ条件とされています。
というのも準男爵の場合も士爵と同じようにサー、デイムと呼ばれます。
その他の外国での士爵の読み方(男性の時、女性の時)
イギリスでの英語の読み方についてご紹介しましたが、その他の外国での士爵の読み方は残念ながらありません。
これは準男爵の称号も同様で、準貴族の称号がイギリス、英国内だけでしか使われていないことからとなっています。
そのためその他の外国でもこの士爵はKnight(ナイト)として読まれます。
士爵の有名な人物(歴史上や現在)
この士爵であるナイトは、主に文化・学術・芸能・スポーツ面といった様々なジャンルで著しい功績があった者に対して、君主(国王や女王)などから授与・襲号されるもので、有名な人物も実は士爵の襲号を受けている人がいます。
そのような中でも、士爵を襲号されている有名な人物として挙げられるのがF1レーサーと知られるフランク・ウィリアムズ士爵やソニー本社社長でもあるハワード・ストリンガー士爵などが有名です。
士爵の有名な漫画や映画などのキャラは
士爵ではなかなか知られていることが少ないので漫画や映画ではあまり使われていませんが、Knight(ナイト)として使われることは非常に多いです。
特に映画では様々なものがあり、「聖杯たちの騎士」や「キングアーサー」、「円卓の騎士」などといった作品に登場します。
このように士爵としてではなくKnight(ナイト)として有名な準貴族の称号ですが、国家に名誉ある襲号を受けているとだけあって偉人達がとても多いです。
ぜひこのような貴族、準貴族の称号について話す機会がありましたらご参考にしていただけたらと思います。