貴族の称号といえばご存知の方も多いと思いますが、主にヨーロッパや中国、日本でも持っている人がいたりする現実に存在する称号です。
一般的に有名な貴族の称号は「五爵(ごしゃく)」、「五等爵(ごとうしゃく)」と呼ばれるもので、「公爵(こうしゃく)」「侯爵(こうしゃく)」「伯爵(はくしゃく)」「子爵(ししゃく)」「男爵(だんしゃく)」といった5つの称号から構成されています。
この中でも公爵や伯爵、男爵などは貴族が関わってくる物語や話などで登場することが多いですが、実はまだ他に「準男爵」や「士爵(ナイト・騎士)」といった準貴族の称号があったりします。
この準貴族でも国家に対して名誉ある功労をしたりすることによって襲号されるのですが、実際どのようなものなのかをご存じない方が多いです。
そこでぜひ皆さんにも知っていただきたいので準貴族の称号の一つでもある「準男爵」についてご紹介していきたいと思います。
目 次
準男爵とは?意味や由来
準男爵(じゅんだんしゃく)は先ほども少しご紹介したように準貴族の称号の一つとされるもので、爵位(貴族の称号の序列化)でいうと男爵より下で士爵より上の階級に位置付けられます。
特にこの「準貴族の称号」が「貴族の称号」と違うところは、「貴族の称号」は主にイギリスをはじめ、フランスやドイツ、イタリア、古代中国や日本といった様々な国が取り入れて偉人たちに襲号、世襲していきました。
※世襲(せしゅう)とは地位や財産、階級などを子々孫々と引き継いでいくことです。
一方、「準貴族の称号」は貴族の称号とは違って使っている国ほぼなく、イギリスのみが使用しているとされています。
貴族の称号で「男爵」、準貴族の称号で「準男爵」とありますが、この二つの大きな違いは貴族であるかどうかです。
というのも男爵の称号は、ヨーロッパ諸国では一番下の貴族の称号とされており、男爵の爵位を受けている方は「貴族」なのですが、準貴族の称号である準男爵の爵位を受けている方は「貴族ではなく平民」なのです。
そのため、貴族院にも議席を持っていないです。
ではなぜ、この準貴族である「準男爵」があるのかというと、イングランド王とされるジェームズ1世がアイルランドの開拓や王室の制作での資金が途切れたため、集金目的で約兵士30人を3年間養えるほどの費用(およそ1,095ポンド)ほどを国に献納した地主に対して襲号されたのが始まりとされています。
このことからわかるように、地主が資金を国家に献上することによって貴族のような名誉ある称号を襲号してもらえることと、国側は資金調達目的で称号を作り、功労、貢献してくれた者に対して襲号するといったギブ&テイクのような関係性で準貴族である「準男爵」が生まれたとされています。
さらにこの国家に献上した地主は貴族のような称号を襲号されるだけでなく、実際に貴族名鑑に名前も載るのも特徴であるのと、この称号は世襲して子々孫々へと引き継ぐことができるのが特徴とされます。
イギリスでの英語の読み方(男性・女性)
この準男爵はイギリスでの英語読みはBaronet(バロネット)と訳されます。
バロネットは男性の時に使用され、女性の場合は女準男爵になるのでBaronetess(バロネテス)と読まれます。
この女準男爵の場合は本人が当主であり、準男爵の配偶者の場合Lady(レディ)の敬称で呼ばれるのも特徴です。
ちなみに準男爵、女準男爵でも敬称があり、準男爵はSir(サー)、女準男爵はDame(デイム)で呼ばれます。
この敬称はファーストネームと苗字にプラスして呼ばれることが多いです。
その他の外国での準男爵の読み方(男性の時、女性の時)
イギリスでの英語の読み方についてご紹介しましたが、そのほかの外国での準男爵の読み方は残念ながらありません。
というのも意味や由来の所で少しご紹介しましたが、イギリスのみでしかこの準貴族の称号は使われていません。
そのため、主に英語読みのBaronet(バロネット)やBaronetess(バロネテス)が使われます。
準男爵の有名な人物(歴史上や現在)
準貴族の称号である準男爵、女準男爵を襲号された有名な歴史上の人物はイギリスの政治家、第71代目首相とされるマーガレット・ヒルダ・サッチャーの夫「デニス・サッチャー」が代表的です。
さらに他に有名なのが、イギリスのベアリングス銀行の創設者、政治家であるフランシス・ベアリング準男爵やジブラルタル総督で知られるチャールズ・モンロー準男爵が有名です。
準男爵の有名な漫画や映画などのキャラ
準男爵が登場してくる有名な漫画や映画のキャラは「機動戦士Wガンダム」でも登場してくる「ルクレツィア・ノイン一級特尉」が女準男爵とされています。
他にも映画では「クリムゾン・ピーク」というゴシックホラーに登場する「トーマス」がこの準男爵の称号を持つ設定とされています。
このようになかなか準男爵、女準男爵をつかわれることが少ないですが、平民の中でも国家に貢献している、貴族名鑑にも乗るほどの名誉ある称号とされています。
ぜひ男爵と準男爵などの違いについて説明する時などがあればご参考いただけたらと思います。