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ローマ字の日とはいつ?意味や由来。ヘボン式と訓令式、パスポート式

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「5月20日  ローマ字の日」

■はじめに

小学校のころ、ローマ字の授業になると、いつも思ったものでした。

「外国人が日本語の発音ができると言っても、単語の意味を知らなけりゃ無意味。それに、なんで日本人がこれを習うのだ?」と。

しかし、そのおかげ様かどうか、今PCでパシャパシャとローマ字入力できていますね。

 

■ローマ字の日とは

1922(大正11)年5月20日、「日本ローマ字会」が創立されたことを記念し、1955(昭和30)年に財団法人「日本のローマ字社」(NRS)が制定しました。

また、日本式ローマ字を発案した地球物理学者の田中舘愛橘(たなかだて・あいきつ、1856~1952)の命日が5月21日なので、これも記念日の日付の根拠でもあるそうですが、命日の記念日というのもちょっと珍しい気がします。

だって「田中舘氏が亡くなったのを記念して…」ってことになりますよね。

 

■ローマ字の日の意味と由来

「ローマ字」とは本来、ラテン文字、つまりアルファベットのことを指しますが、日本国内ではアルファベットを使った日本語表記をローマ字と呼んでいて、漢字では「羅馬字」と書きます。

日本語で200字くらいのメールを、試しにローマ字で打って、友人に送信してみました。

打つのにも相当な時間と労力が要りましたが、受け取った友人も大変だったそうで、

「頭の中で日本語の発音にして、漢字交じりの文章に変換して、同音異義語を識別して…」

という作業で、意味をつかむのに時間がかかって、ちょっと前の文章を忘れてしまうそうです。

 

日本人同士の文章のやりとりには、ローマ字はなんの役にも立たないどころか、わずらわしいだけですね。

しかし、日本の中に外国人が珍しくない現在、地名や人名を文字で伝えるために、ローマ字は必須アイテムなんです。

 

そもそもローマ字の日本初登場は、戦国時代にカトリックのイエズス会が、布教のために作成した日本語とポルトガル語の対応辞書に遡ります。

次いで幕末、米国人のジェームス・ヘボンが、仮名とアルファベットを1対1で対応させ、英語に準拠したローマ字を確立しました。

これがかの有名な「ヘボン式ローマ字」です。

 

明治になると、音韻に主眼を置いた田中舘氏発案の日本式ローマ字が幅を利かせ、ヘボン式とのせめぎ合いが続くことになります。

昭和に入って、近衛内閣が日本式ローマ字に少し変更を加えた「訓令式ローマ字」を公布して、ヘボン式を排除しますが、戦後、GHQの「修正ヘボン式ローマ字」使用指示もあって、またまたローマ字混乱期と相成って今日に至っています。

 

■ローマ字の日のイベント

日本のローマ字社の事業は学究的な色合いが強く、活動も内向きの印象を受けます。

従って、記念日行事も研究発表や講演がほとんどで、広く一般にというものではありませんね。

 

■ローマ字の日の雑学

 

▽ヘボン式と訓令式

主に使用されているローマ字は、ヘボン式と訓令式に大別できます。

どちらも、「あいうえお」は「aiueo」で同じ表記、他にも、か行、な行、ま行など違いのない表記も多いですが、「きゃ、にゃ、じょ」などの拗音や、促音(っ)、撥音の「ん」などは異なっています。

たとえば、「白富士=しろふじ」は、

訓令式では「SIROHUZI」ですが、

ヘボン式では「SHIROFUJI」となります。

 

また、「た行」も、

訓令式では「ta ti tu te to  tya tyu tyo」で、

ヘボン式では「ta chi tsu te to  cha chu cho」

という違いがありますが、私たちは英語に近い表記のヘボン式になじんでいるように感じますね。

 

▽パスポート式

私たちが実際にローマ字を使うのは、PCで文章を打つときですが、「chi」だろうが「ti」だろうが「ち」と出ればいいわけで、人それぞれに訓令、ヘボンを混ぜこぜに使っています。

しかし、パスポートという国際的公式証明書に記される名前は、ローマ字がそのまま登録されます。

基本的にパスポートの氏名は、戸籍記載名をヘボン式ローマ字で表記するよう旅券法で定められています。

 

注意が必要なのは、たとえば、

「大野」(おおの)は、「ONO」とし、末尾以外の「おお」は「O」ひとつで、「小野」と区別できませんね。

「佐藤」「優香」は「SATOU」「YUUKA」とはせずに「SATO」「YUKA」となって、「佐戸」「由香」と一緒の読みになってしまいます。

また、「神田」は「KANDA」ですが「本間」は「HOMMA」となります。

これは「B、M、P」の前の「ん」は「M」で表記するためで、他にもこんな注意点はいくつもあります。

 

ただし、大野さんが「OONO」や「OHNO」表記を希望すれば認められますが、原則、再変更はできません。

国際結婚の場合も「SMITH」「KIM」など、ヘボン以外の表記も可能です。

気をつけないといけないのは、家族旅行で海外に行く場合、家族内で姓の表記が異なると、出入国審査でトラブルになりかねないことですね。

 

■まとめ

2種類の表記法があることで、ローマ字を学習する児童が混乱するのではないか、という声が小学校の現場で持ち上がっていると聞きます。

訓令式はたしかに規則性があるので教えやすいとは思いますが、今や児童の生活にも英語が入り込んでいるので、ヘボン式のほうが自然だという意見もあります。

どちらにしても、教師以外の大人は困らないので、この論争には身が入りませんね。

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