「3月6日 弟の日」
はじめに
筆者はひとりっ子として育ったので、兄弟姉妹のいる生活は見聞きするばかりで実感はありません。
大好物は最後に食べるという習慣は、友人から競争相手のいないせいだと言われますが、そうかもしれませんね。
目 次
弟の日とは
漫画家の畑田国男(1944~1996)が1992(平成4)年に、3月6日を「弟の日」と制定しました。
妹の日9月6日、兄の日6月6日、姉の日12月6日という順に制定され、残る弟の日は当然3月6日で、これは知能検査の問題に出そうです。
■弟の日の意味と由来
兄弟姉妹それぞれの日が出そろって、父の日、母の日もありますが、おじいちゃんとおばあちゃんは「敬老の日」と世の中のお年寄りがひとくくりにされ、「こどもの日」同様、家庭内の個人を対象とした印象は希薄で、法の下の平等精神に抵触しています。
また、記念日は何親等以内なんて決まりがあるとは思えませんが、いとこの日、叔父や伯母の日も聞いたことがありませんね。
何にしても「弟の日」を祝うのは微笑ましいですが、それは間違いなく「弟の日」ではなく誕生日で、兄弟姉妹の日すべては風化していて、知る人もほとんどないようです。
■弟の日のイベント
かつて畑田氏の主催する妹の日実行委員会が「日本妹大賞」を選定するイベントがあって、マラソンの有森裕子、競泳の岩崎恭子、長寿の双子姉妹の蟹江ぎんさんが受賞して話題にはなりましたが、畑田氏の死去もあって短期間で終わっています。
この大賞は妹だけで、姉兄弟は相手にされなかったようなので、弟の日のイベントは聞きません。
弟の日の雑学
▽悲劇の弟代表は「源義経」
古来、兄弟間の覇権争いは数多くありますが、中でも尽くした兄源頼朝によって討たれ、非業の死を遂げた源義経は悲劇の弟ナンバーワンと言ってよいでしょう。
誰もが知る幼名牛若丸こと源義経は、平治の乱(1160年)で敗死した源義朝の九男で、鎌倉幕府を開いた源頼朝は異母兄に当たります。
義経は父の死で一旦は鞍馬寺に預けられますが、僧侶になることを拒み、奥州を支配していた藤原秀衡を頼って平泉へ下りました。
ちなみに牛若丸時代、五条大橋で演じた弁慶との大立ち回りは、後の世の作り話です。
やがて頼朝が伊豆で挙兵すると、義経も参陣し、以後は実質上、源氏の総大将として縦横無尽に活躍しますが、頼朝は鎌倉に腰を据え、平氏との戦いの指示と、東国の御家人平定に専念します。
現在、頼朝の評判がよろしくないのは、義経を討っただけでなく、自分は動かないで、「ああしろ、こうせい」と言うばかりだったと思われているためでもありますね。
あの家康でさえ天下を取った後も、関ケ原や大阪城へ出陣しています。
源平の戦いは途中、源氏の内輪もめなどもあって、長くなるので仔細省略しますが、義経は壇ノ浦で平氏を滅亡させ、京では人気ナンバーワンの存在となります。
また、ちなみにですが、壇ノ浦で義経が次から次へと舟に跳び乗ったという「八艘跳び」ももちろん作り話です。
戦後、老獪な朝廷の口車にだまされた政治にウブな義経が、頼朝さえ手に入れていない官位を頼朝に無断で賜ったことは、自分を首班とする鎌倉幕府構想に障害ともなりかねず、ここが義経悲劇の出発点となります。
官位に加え絶大な人気を誇る義経を不快に思い始めた頼朝に、義経の戦目付として派遣した梶原景時も自分の献策を無視された腹いせか、義経の悪口雑言の限りを尽くし、義経は鎌倉に戻る手前で足止めをされてしまいます。
ようやく状況が見えた義経は京に戻りますが、機を見るに敏な朝廷は掌返しで義経追討令を発し、再び奥州の秀衡を頼ることになります。
義経の力量を評価し、頼朝の覇権が奥州に及ぶことを警戒していた秀衡は、義経を保護したうえで、3人の息子には「鎌倉と戦になれば義経の指図を仰げ」と言い残して他界してしまいます。
しかし、異母兄弟のためか3人の息子は仲が悪く、毛利3兄弟のようには遺言を守らず、頼朝の陰謀によって秀衡の後継泰衡は、まず義経と仲良しの三男忠衡を殺害、平泉・衣川で義経を自刃に追い込みました。
またまた、ちなみにの作り話で、この時に義経を守ろうと仁王立ちのまま死んだという弁慶ですが、「立ち往生」という言葉は今も生きていますね。
また、京の高名な陰陽師が著した兵法書を読んだ義経が、この中の「虎巻」にある兵法によって連戦連勝を遂げたという作り話から、成功するための必読書を「虎の巻」と呼ぶようになりました。
■最後に
筆者はひとりっ子ですが、冒頭「…として育った」という余分な言い回しは、数年前に異母兄弟(弟)の存在が判明したためで、彼はすでに亡くなっていましたが、この場合でもひとりっ子とは言えるのかどうか曖昧だったためです。
「ひとりっ子」とは、戸籍上の兄弟姉妹の有無よりも、育つ環境を言い表しているようです。
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