「4月18日 お香の日」
■はじめに
ちょっと格式の高そうな日本旅館に宿泊した際、玄関ロビーの香炉から雅な香りが漂っていたことを思い出しました。
これを「お迎え香」と言い、お客さまへの気配りなんだそうです。
目 次
お香の日とは
4月18日の「お香の日」は、全国薫物線香組合協議会(現日本薫物線香工業会)が、香文化の普及を目的として1992(平成4)年に制定したものです。
■お香の日の意味と由来
4月18日という日付は、なんと「日本書紀」にまで遡る由緒正しい(?)ものだそうです。
なんでも「日本書紀」中の記述をわかりやすく超訳すると、
「推古天皇在位3年目(西暦595)の4月、ひと抱えくらいの大きさの木片(香木)が淡路島に漂着したが、島民は貴重な香木だとはつゆ知らず、薪と一緒にカマドで焼いたところ、あ~ら不思議! 煙とともに漂う類まれなる良い香り。焼いてしまうなどとんでもないと朝廷に献上したそうな」
ということで、同様の記述が淡路島の記録にもあって、こちらには漂着は「南岸」といくらか細かく書かれています。
朝廷では当時の摂政、聖徳太子がこの木片を見るなり、
「これは正真正銘の『沈水』である」と鑑定したと言われています。
さすが、博識と謳われた聖徳太子、元祖なんでも鑑定団!
「沈水」「沈香」ともに「香木」のことで、比重が大変重いために水に沈んでしまうことから「沈」の字が用いられたと言われます。
ところで、聖徳太子が一発で香木と見抜いたのは、それより半世紀前に仏教が伝わっており、仏像や経典とともに供香の原料として香木も日本に入って来ていたからですね。
淡路島の香木が日本初上陸というわけではありませんが、「日本書紀」のネームバリューを活かして、「お香の日」はその記述にある4月から選ぶことになり、さらに「香」という漢字をバラすと「十」「八」「日」となることから、18日と決まりました。
クイズに出そうですが、苦し紛れの語呂合わせより、よほど気が利いていると思いますね。
てっぺんの「ノ」はどうするんだとかいうのは野暮ですよ。
■お香の日のイベント
日本薫物線香工業会は内輪に目が向いているようで、号令一下で「お香の日」のイベントを全国で展開しよう! とはならないようです。
その代わり、お香を愛する人たちで作る団体が定期的にお香の催しを開いていますが、門外漢には敷居が高く、おいそれと参加は難しいようです。
お香の日の雑学
▽「組香」
香道は茶道、華道とともに日本3大芸道と言われ、立ち上る香気によって古典世界の詩歌、故事、情景などに思いを馳せるという文学性、精神性豊かな芸道で、筆者のような無粋者には奇怪至極、摩訶不思議な世界です。
香道では香りを「かぐ」とは言わず、「聞く」と表現し、また「におい」なんて言葉も禁句です。
現代の香道は「組香」が主流で、これは簡単に言えば「香り当て大会」ですが、あくまで座敷に和装が基本、所作もたおやか、日本の雅を体現していなくてはなりません。
まず席主(百人一首で言えば詠みあげる人)が香木を刻み、参加者にどれだかわからないように小さく包みます。
それを焚いた香炉が参加者に回され、各人が香を聞き、銘柄をメモし、それが何度か繰り返され、さあ、あなたはいくつ当てたでしょうか、というのが組香です。
▽「六国五味」(ろっこくごみ)
聞香が盛んになった室町時代、香道が確立する過程で、香木の種類を体系的に整理する必要が生じたことで、香木が「六国五味」として分類され、この規格は現在にまで引き継がれています。
「六国」とは産出地名から6種に分類され、
「伽羅」「羅国」「真那賀」「真南蛮」「佐曽羅」「寸門陀羅」で、
「五味」は香りの特徴を味覚に例えて、
甘(あまい)、辛(からい)、酸(すっぱい)、苦(にがい)、鹹(しおからい)
の5つで表現しています。
■最後に
筆者は香道なんて優雅な芸道とは無縁なので、蚊取り線香に郷愁を感じるくらいですが、それも昨今は煙のヤニが壁紙や天井を汚すと言われ、タバコと同じ扱いを受けています。
ゆらゆらと立ち上る蚊取り線香の煙は、幼いころの夏の思い出です。
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