「10月4日 都市景観の日」
■はじめに
「都市景観」と聞けば「見た目が美しい街並み」を思い浮かべてしまいますが、「美しい」という言葉は極めて主観的です。
「美」や「景観」をめぐっては裁判沙汰も多く、最高裁は「良好な景観の恩恵を受ける利益は法的保護に値する」としたものの、「美」の定義には触れようもなく、今後も「美」をめぐるコンセンサスでは紛糾が避けられません。
目 次
都市景観の日とは
1990(平成2)年に建設省(現国土交通省)が、国民の景観に対する意識を高めてもらおうと、10月4日を「都市景観の日」と制定しました。
都市→とし→と(10)し(4)→10月4日というわかりやすい語呂合わせですね。
■都市景観の日の意味と由来
制定翌年から都市景観の日実行委員会が、毎年、日本各地の優れた景観を持つ地区を表彰、賞の名前は何回か変更されたものの、現在の都市景観大賞は「都市空間部門」「景観まちづくり活動・教育部門」として続いています。
■都市景観の日のイベント
過去には大分駅南地区、江古田3丁目地区(東京都中野区)、新百合山手都市景観形成地区(川崎市)、プレーパークこうりがおか(大阪府枚方市)など9地区が受賞し、10月2~4日、東京都庁のパネル展で紹介されました。
都市景観の日の雑学
▽美しい国づくり政策大綱
日本の美しい自然を整備し、次代へ引き継ぐため、国土交通省は2003(平成15)年に「美しい国づくり政策大綱」を定めています。
大綱は、
・秩序が織りなす美しい田園風景(北海道)
・玄界灘に沈む夕陽(福岡県)
・事前環境に配慮した桂浜の景観(高知県)
・サンゴ礁の島(沖縄県)
・歴史が保存されている街並み(奈良県)
・歴史的建造物を保存・活用した神戸税関本館(兵庫県)
などを例に挙げて、気候・風土、四季の変化、水と緑などの美しい自然を守ろうと呼び掛けています。
しかし、その一方では、経済や効率、機能性を重視するあまり景観への配慮がなく、無秩序な看板や無数の電線によって都市は雑然とした景観になっており、またモラル欠如による放置自転車、河川敷の大型ゴミ問題、そのほか日本橋を覆う首都高や消波ブロックなど、解決困難な課題も多く指摘しています。
大綱は美しい国づくりへの取り組みとして、地域の個性重視、持続性、国や地方、企業の役割・協調と条件整備などを提示したうえで、公共事業の景観アセスメント、緑化推進、電線地中化など15項目の具体的施策を掲げています。
▽景観第一、厳しいフィレンツェのルール
京都は建築条例の厳しさで知られていますが、姉妹都市フィレンツェの厳しさも相当なものがあります。
世界有数の観光都市イタリアのフィレンツェの象徴でもある大聖堂の屋根は赤茶のレンガ色ですが、街の家庭の屋根もすべて大聖堂と同じとするルールがあって、このために町全体を見下ろすと見事な景観が広がります。
もちろん、大きな広告塔や看板、電線までもがなく、空調機器とアンテナは外から見えないように工夫され、アンテナは1m以下と決まっていて、違反すると500ユーロ(約7万円)の罰金だそうです。
街並みに統一感を持たせるため色彩にもルールがあり、建物の補修をする際には、窓枠は緑か茶色、ドアや壁の色も決まっているため、落ち着いた色彩で調和した街になっているところが観光の醍醐味と言われています。
また、2019年9月に新たなルールが追加され、指定された4つの通りでは、12~15時、18~22時に「食べたり飲んだりしながら立ち止まってはならん」というもので、罰金はやはり最高500ユーロが課せられてしまいますが、立ち止まらなければOKだそうです。
フィレンツェに行くなら事前にルールをしっかりとアタマに叩き込んでおく必要がありますね。
■最後に
「都市景観の日」にはシンボルマークがあるそうです。
三角形の「空間=白」を「人=茶」「人工物=青」「自然=緑」が囲むデザインで、それぞれの調和を意味しているとのことですが、自然の緑だけはわかりますが、あとは説明されてもピンときません。
意図がわかるだけに残念な出来栄えですね。
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