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十日戒(とおかえびす)とはいつ?意味や由来、イベントに「福男」を決めるレース!

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▪はじめに

十日戎とは、七福神の1人である恵比寿さまを祀る神社で毎年行われる商売繁盛のご利益があるとされる祭礼で、関西では馴染みの深いお祭りです。

十日戎と聞いてピンとこない方も、毎年兵庫県西宮神社で行われる「福男」を決めるレースと聞けば分かる方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな十日戎の由来やイベント、十日戎にまつわる雑学などについて詳しく解説していきましょう。

 

十日戒とは

十日戒は、毎年1月10日とその前後の1月9日、1月11日に行われる祭事です。

1月10日を「本えびす」とし、前日の1月9日は「宵えびす」、翌日の1月11日は「残りえびす」と呼ばれています。

七福神の1人である恵比須さまが祀られた神社で行われる祭礼で、商売繫盛にご利益があると商売人を中心に毎年多くの参拝客が訪れています。

 

▪意味

十日戎には、恵比須さまに商売繫盛をはじめ家内安全・交通安全などを願い、神社からは福笹や熊手などの縁起物が授与されています。

 

▪由来

十日戎の由来は、神社によって違っています。

 

えびす宮総本社である兵庫県の西宮神社では、元々1月9日に「居籠神事(いごもりしんじ)」1月10日に「御狩神事(みかがりしんじ)」と呼ばれる神事を行っていました。

「居籠神事」は鎌倉時代には行われていたそうで、1月9日の深夜12時に神社すべての門が閉ざされ大祭前に身を清めるため神職は居籠り、門前町の人たちは灯りを消し、門松を逆さにし、通りが見えないように戸を閉め簾を垂らして家の中に籠り1月10日の午前6時に開門するのを待つというものです。

「御狩神事」はどのような神事だったのかよく分かっていませんが、年の初めにその年の農業や商売の良し悪しを占うものだったのではないかとされています。

これらの神事がのちに「十日戎」と呼ばれるようになりました。

 

京都府の京都ゑびす神社では、恵比寿さまの誕生日が1月10日だったことに由来しているといわれています。

 

滋賀県の豊国神社は豊臣秀吉を神として祀っていた神社でしたが、徳川家康に滅ぼされたあと、徳川幕府から迫害を受けていました。

その迫害から逃れるため、えびす宮を建立して表向きは恵比寿さまを祀り本当は秀吉を神格化した御神像を祀っていたそうです。

そのときにえびす宮の裏側に秀吉の御神像をこっそり祀ったことが豊国神社の十日戎のはじまりとされています。

 

▪イベント

日本各地の十日戎のなかでも代表的なのが、毎年「福男」を決めるレースを行う兵庫県西宮神社の十日戎です。

 

西宮神社では、次のような日程で十日戎の祭礼が執り行われます。

 

十日戎の準備として、1月8日の午前9時半に「大まぐろ奉納」の儀が執り行われます。

この大まぐろは神戸市東部中央卸売市場から奉納されるもので、十日戎の3日間「招福大まぐろ」として拝殿に飾られ、毎年参拝者が硬貨をまぐろに貼り付けるので、西宮神社の十日戎の名物となっています。

 

「宵えびす」である1月9日は、有馬温泉の約50人の芸妓さんたちによって金泉が奉納される「献湯式」や「宵宮祭」が行われ、深夜12時には神門が閉ざされ神職の「居籠り」が始まります。

 

「本えびす」である1月10日は、午前4時から「十日戎大祭」が執り行われ、午前6時に表門が開かれ「開門神事福男選び」が行われます。

福男は毎年ゴールインした順で一番福・二番福・三番福の3人が選ばれ、それぞれに恵比寿さまの御木像や米などの副賞が贈られます。

福男選びが終わると福男3人による鏡開きが行われ、参拝者にお神酒が振舞われます。

また、先着5千人の参拝者に「開門神事参拝之証」が無料で授与されるそうです。

その後1月11日の「残りえびす」まで、十日戎の祭礼が続きます。

 

十日戎が行われる3日間は吉兆の出店をはじめ、食べ物やおもちゃ屋などの露店が約600軒も沢山立ち並び、毎年100万人を超える参拝者が訪れるそうです。

また、境内の池に面した場所にある「おかめ茶屋」では、甘酒とゆで卵が販売されています。

甘酒は「麹」で作られることから「幸事(こうじ)」に通じるとされており、またゆで卵は丸い形をしていることから「1年間丸く暮らせますように」という意味が込められているので、お参りした後にはぜひこの2つを味わってください!

西宮神社HP 

 

十日戒の雑学

<えびすさまってどんな神様?>

七福神の1人であり商売繁盛の神様とされている「えびすさま」ですが、昔は全く違う神様だったのです。

 

かつて「えびす」とは、「稀に海から流れ着く漂着物」を富や福をもたらしてくれる「常世の国(永遠不変の国)の神様」としてみていたものでした。

そして鎌倉時代からこの「えびす」を神話などに登場する神様と同一視するようになっていきます。

 

えびす信仰の総本宮とされる西宮神社では、ヒルコノミコトがえびすさまの由来になっているとされています。

ヒルコノミコトは日本を作ったイザナギ・イザナミの最初の子供とされている神様ですが、子供を産む前の儀式に不備があったため未熟児で生まれました。

イザナギとイザナミはヒルコノミコトを不吉な子として葦で作った船に乗せて海に流してしまいます。

ヒルコノミコトは、摂津の国の西の浦(現在の兵庫県西宮)に流れ着き、その土地の人に拾われて「戎(えびす)三郎」と名付けられて育てられ、その後海の神様や富をもたらす神様として西宮神社で祀られるようになりました。

 

その他に、今成神社などでは大国主命の子供の事代主命がえびすさまの由来となっているとされています。

 

<十日戎に笹を授与するのはどうして?>

十日戎といえば、「商売繫盛で、笹持ってこーい」という掛け声と縁起物として授与される福笹が有名ですよね。

福笹とは、笹に吉兆(子宝)と呼ばれる縁起物とお札を付けたものです。

吉兆(子宝)には、銭叺(ぜにかます)・銭袋・末広・小判・丁銀・烏帽子・臼・小槌・米俵・鯛・鈴などがあり、自分で選んで飾ります。

 

ではこの福笹は、どうして授与されるようになったのでしょうか?

福笹の発祥は京都のゑびす神社だとされており、これはゑびす神社で独自に授与されていた「御札」の形態が広まったものとされています。

笹が授与される理由は諸説ありますが、福笹発祥のゑびす神社では、笹は縁起のよい植物である松竹梅の1つである竹の葉であり、節目が正しくまっすぐに伸びて、弾力があり折れにくく、葉が落ちないで常に青々と繁っているからだと説明があります。

「商売繫盛で、笹持ってこーい」というお囃子が今でも残っているとおり、かつては参拝者が笹を持って行き、吉兆を付けて貰っていたそうです。

 

福笹は神社によって少し形態が違っています。

ゑびす神社や大阪の今成神社などでは、本物の笹が無料で授与されて沢山ある吉兆(1つ1500円)を自分でチョイスして福娘さんに付けて貰うというスタイルです。

吉兆はそれぞれに意味があるので、自分の願い事に合ったものをチョイスします。

 

西宮神社や豊国神社などでは、福笹にお札と吉兆があらかじめ飾られたタイプのものです。

西宮神社の福笹は小さなものは1000円、大きなものは3000円で購入できます。

 

また、十日戎で授与される縁起物は、福笹以外にも福や金運をかき集めるという意味がある熊手や福をすくい取るという意味がある福蓑(ふくみの)などがあります。

これらの縁起物は、正面が南または東に向くように飾るのが正しい飾り方とされており、1年間飾ったら翌年の十日戎やどんと焼の日に神社に返納してまた新しいものを購入するとよいとされています。

 

▪まとめ

十日戎には、商売をされている方をはじめ、毎年とても真剣にお参りする人が沢山訪れます。

それはやはり、えびすさまが昔から庶民を中心に大切に祀られてきたという歴史があるからこそではないでしょうか。

みなさんも十日戎にはお近くのえびす宮に参拝して、1年の福を福笹に願ってみてください。

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