「10月6日 役所改革の日」
■はじめに
2020年6月、和歌山市に出店したことで、全都道府県への出店を達成したドラッグストアチェーンの「マツモトキヨシ」は、創業者であり千葉県・松戸市長の松本清が自らの名前をそのまま店名にしたんですね。
それは「マツキヨ」が大企業に成長した今では有名な話になりましたが、松本は市長としても地方行政の在り方に日本最初の一石を投じたことでも知られています。
目 次
役所改革の日とは
1969(昭和44)年10月6日、松戸市役所が「すぐやる課」を設置したことを記念して、この日を「役所改革の日」と言うそうですが、詠み人知らずの記念日でもあります。
たしかに役所としては画期的な英断でした。
「すぐやる課」誕生から50数年経ちますが、いくつかの自治体が松戸市に続いたものの、改革の本丸である国の省庁は旧態依然のままと言ってよく、「思えばこの記念日が最初の一撃だった」と言われる日は来るのでしょうか。
■役所改革の日の意味と由来
1969年当時の松戸市は急激な人口増加にインフラ整備が追いつかず、道路や排水路に関する市民の苦情や要望も増える一方でしたが、こうした市民の生活にかかわる問題解決は行政の縦割りもあって時間がかかるばかりでした。
「すぐやる課」はこうした対応の遅さを問題視した松本市長がすべての課を横断する形で創設したもので、市民からの賛辞、反響の大きさから70年代には全国に波及し、一時は同じような趣旨の「課」が全国に300ほど設置されました。
その後、役所の組織改編などで縮小されて、現在は14市町村が設置しているだけとなりました。
松戸市の「すぐやる課」は2019年に発足50周年を迎え、今も同課の活動は続いています。
■役所改革の日のイベント
2019年には50周年を記念したイベントが松戸市で開催され、クイズ大会やパネル展示、蜂の相談会などを実施しました。
役所改革の日の雑学
▽近年は動物関係の要望が増加
50年間で「すぐやる課」に寄せられた要望は15万6千件で、今も年間3000件近い数になるそうです。
最初の要望は携帯電話のない時代、子どもが熱を出したのに剣道大会へ出かけた夫と連絡が取れないというもので、課長自らが夫を探し出したそうです。
当時は道路の穴や側溝から雨水があふれたなど生活インフラに関するものがほとんどでしたが、近年はスズメバチの巣、ハクビシン、カミツキガメ、カラスなど動物関係の要望が増え、1993年には受理件数439だったものが、1999年になると土木・清掃と同数の1000件を超えました。
「すぐやる課」が多くの成果をあげたのは市長直轄の部署だったため、他部署からの横やりが入らなかったことが成功の大きな要因でもありました。
▽政府が認印不要を主導
これも役所改革の一環でしょうか、2020年12月、国税庁が税務関係書類の押印原則廃止を発表したことで、翌年4月1日から今まで認印で済んでいた書類にはハンコが不要となりました。
例えば、確定申告や年末調整、住民票の転入出届、車庫証明、車検、婚姻・離婚届、出生・死亡届など、約1万5千種類がハンコ廃止の対象になります。
その一方で現在実印が必要な法人や不動産の登記申請、銀行、住宅ローン申請など83種類は現状通り脱ハンコにはなりません。
また、ハンコ不要の流れは地方自治体にも及んでいることから、政府は「押印廃止マニュアル」を作成し、全国的な脱ハンコを加速させ、合わせて電子署名、電子申請の整備を図っています。
当然、自民党の一部議員で構成される「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」(通称はんこ議連)は、ハンコ文化が根付いた日本ではハンコが「意思の担保」として優れているとして、脱ハンコの急加速に抵抗していますが、「意思の担保」はサインよりハンコというのは根拠が薄弱で説得力がありませんね。
また、「サインよりハンコのほうが契約に信用感が出る」と情緒面にも訴えています。
はんこ議連の旗色は悪いままですが、たしかに芸術とも言えるような印影を目にすると、このまま廃れてしまうのはもったいないとは感じます。
実印必須の現状は維持すべきとも筆者は考えていますね。
■最後に
松本市長が「すぐやる課」創設を思い立ったのは、
「市役所」とは「市」民のために「役」立つ人のいる「所」
という信念からでした。
今も同課には松本市長の直筆である
「すぐやらなければならないもので すぐやり得るものはすぐにやります」
という標語が掲示されています。
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