▪はじめに
エイズ(AIDS)とは、正式名称を後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が感染することで病原体への抵抗力が十分に機能しなくなり、その結果として様々な症状が現れた状態のことです。
1980年の終わりに発見されて以降、世界中に広まったエイズに関する啓蒙活動を行うために制定されたのが、世界エイズデーです。
目 次
世界エイズデーとは
世界エイズデーは、毎年12月1日にあります。
世界エイズデーは、1988年(昭和63年)にWHO(世界保健機関)によって制定された国際記念日です。
毎年この記念日を中心に、世界各国でエイズに関する啓発活動が行われています。
▪意味
世界エイズデーは、世界規模でのエイズ蔓延の防止、エイズ患者やHIV感染者に対する差別や偏見の解消を目的として制定された記念日です。
▪由来
世界エイズデーが12月1日となった由来は、WHOで新しい役職に就いた放送ジャーナリストのジェームズ・バンと同僚のトーマス・ネッターが、1988年のアメリカ大統領選挙とクリスマスの間に存在したメディアのギャップを利用し視聴者の興味を惹きつけるのに理想的な日付であると判断して12月1日に最初の世界エイズデーイベントを行ったことだとされています。
▪イベント
世界エイズデーには、日本各地でエイズに関するイベントが行われています。
日本では、厚生労働省が公益財団法人エイズ予防財団やエイズ関連NGO等の関連団体とともに、その年のキャンペーンテーマを掲げたエイズに関する啓発イベントを行っています。
過去には、「世界エイズデーイベント RED RIBBON LIVE 2020~Go To 検査!ちなみにハンコいりますか?」というキャンペーンテーマで、ニコニコ生放送によるオンラインライブの配信を行いました。
内容は、DJ山本シュウ(レモンさん)の呼びかけに賛同したアーティストやタレント、全国各地のDJ、医療関係者、厚生労働省職員達によるエイズ予防啓発のメッセージを込めたトークやライブを行うものでした。
リスナーからの質問コーナーもあり、正しいエイズ予防の知識の普及が行われました。
また、毎年世界エイズデーポスターコンクールも行われており、小学生・中学生・高校生・一般の各部門から最優秀賞作品が1点選ばれ、さらにその中から選ばれた1点がポスターとなり、公官庁や地方公共団体、病院、映画館などに掲示されます。
他にも「世界エイズデーイベント RED RIBBON LIVE 2021~Think Together Again~」というキャンペーンテーマでニコニコ生放送によるオンラインライブ配信が行われます。
DJ山本シュウさんをはじめ、押尾コータローさん、照英さん、益若つばささん、ホリさんなど多彩な出演者のよるトークやライブが行われるので、エイズに対する正しい知識を得るためにも、ぜひイベントに参加してみてください。
エイズの雑学
<エイズってどんな病気?>
エイズ(AIDS)とは、正式名称を後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome)といい、遺伝ではなくヒト免疫不全ウイルス(HIV)が感染することで病原体への抵抗力が十分に機能しなくなり、その結果として様々な症状が現れた状態のことをいいます。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とは文字通りヒトの免疫力を低下させるウイルスで、HIVに感染して治療をせずにいると、1年~10年で健康な人なら何でもない菌やウイルスで起こる病気を発症します。
エイズ発症の目安となる病気はカンジダ症やトキソプラズマ症など23種あり、このいずれかを発症していなければ、HIVに感染していてもエイズとは言いません。
HIVに感染すると、感染後2週間~4週間目くらいに発熱・のどの痛み・倦怠感・下痢など風邪のような症状が現れますが、数日から数週間で自然に消えてしまいます(急性期)
急性期後は数年から10年ほど何の症状も出ない状態が続きます(無症状キャリア期)
感染後、治療を受けないで過ごしていると、数年~10年で健康な人なら何でもない病気や癌などを発症し、死に至ります(エイズ期)
以前は、エイズは不治の病とされていましたが、現在は治療薬の発展により、HIV感染の早期発見・早期治療で発症を抑えられる病気となりました。
感染してしまったのではないかと疑われた場合は、お近くの保健所で早めに検査を受けてください。(無料、匿名で検査が受けられます)
HIVは、感染者の血液や精液、膣分泌液に多く含まれていて、性的接触やHIVに汚染されている血液の輸血、麻薬の回し打ちによる汚染注射針の使用などの感染経路があります。
また、母親が感染している場合は、妊娠中や出産時、また母乳を介して赤ちゃんに感染することもあります。
感染を予防するために私たちができることは、性行為の際にコンドームを使うこと、献血前や妊娠前(性行為前)にHIV検査を受けること、麻薬に手を出さないことです。
エイズがアメリカで広まり始めたころは、感染者に同性愛者男性(ゲイ)や麻薬常習者が多かったことから、誤解や偏見が持たれていました。
しかし、現在では、異性間の性行為での感染や母子感染も確認されており、偏見は徐々に薄まっています。
しかし、いまだに世界中に約3800万人ものHIV感染者がいるのが現状です。
これ以上感染者を増やさないために、また自分だけでなく大切な人を守るためにもエイズに対する正しい知識を身に付け、予防をしていきましょう。
<レッドリボンの由来とは?>
世界エイズデーイベントには、レッドリボンがシンボルとして使用されています。
この「レッドリボン」が使用されるようになったのはどうしてなのでしょうか?
じつは「レッドリボン」はヨーロッパに古くから伝わる風習で、病気や事故で人生を全うできなかった人達に対する追悼の気持ちを表すものでした。
この「レッドリボン」がエイズ啓発運動に使われるようになったのは、1980年代の終わりごろです。
この頃、アメリカではエイズが社会的な問題となってきており、ニューヨークの演劇界や音楽界などで活躍するアーティストたちにもエイズが広がっていました。
そのような中で、アーティスト達を中心にエイズで亡くなった仲間たちに対する追悼の意とエイズに苦しむ人たちへの理解と支援の意味を示すために「レッドリボン」をシンボルとした運動が始まったのです。
「レッドリボン」はそのままエイズ啓発運動のシンボルとなり、その後も世界中で使用されるようになりました。
▪まとめ
エイズという病気が発表された直後は、同性愛者を中心に性行為で広まる病気だという誤解があり、偏見や差別に悩む患者さんも多くいました。
しかし、世界エイズデーイベントなどの啓発活動のおかげで少しずつ正しい知識が広まっていき、誤解が解けていきました。
未知の病気と闘うために大切なのは、正しい知識を身に付けることです。
みなさんもどうかイベントに参加するなどして、エイズに対する正しい知識を身に付けてください。
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