「8月30日 国際失踪者デー」
■はじめに
北朝鮮による拉致被害者を除けば、日本の「失踪者」はほとんどが個人的な理由で、政治的弾圧で多くの市民が失踪する紛争国とは事情が違いますね。
その意味ではまだまだ日本は平和と言えるでしょう。
目 次
国際失踪者デーとは
8月30日は国連が定めた「強制失踪の被害者のための国際デー」になります。
長いので「国際失踪者デー」と呼ぶのが一般的で、あるいは「国際行方不明者デー」とも言われます。
これは1981年にコスタリカで設立された「ラテンアメリカ収監者・失踪者親族連帯財団」が推進して、2006年に国連総会で採択された「強制失踪条約」締結を記念した国際デーで、2020年時点で98の国・地域が署名し、63の国・地域が締約しています。
日本は2007(平成19)年に署名し、翌年に批准して締約国になっています。
ちなみに署名の段階では基本的な賛意を示しただけで条約実行義務はなく、日本の場合は国会の審議を経て批准し、国際的に宣言することで締約国となりました。
■国際失踪者デーの意味と由来
国際失踪者デーの正式名称の中に「被害者」とあるように、「強制失踪」とは国や組織により逮捕、拘禁、拉致などで個人の自由を奪われ所在を隠蔽されることで、これはたとえ戦時下であっても正当化はされません。
締約国は強制失踪を刑事犯罪として容疑者を処罰する義務を負い、容疑者が自国内にいる場合は国際刑事法廷に引き渡すか、自国の裁判所に訴追する義務も課せられています。
しかし、現実には強制失踪者の所在が明らかになる例は少なく、国連人権高等弁務官事務所やアムネスティ・インターナショナル、赤十字国際委員会などが中心となって失踪者の行方を調べていますが、戦争や内戦絡みの事案も多く、活動は困難を極めています。
■国際失踪者デーのイベント
8月30日には多くの国が「国際失踪者デー」にメッセージを寄せていますが、大きなイベントは見つかりません。
国際失踪者デーの雑学
▽政治的要因による強制失踪
近100年の歴史だけでも強制失踪の例は枚挙にいとまがなく、1930年代のロシア・スターリンやスペイン・フランコ政権下では強制失踪が市民弾圧の手段とされたのをはじめ、第二次大戦中にナチスが制定した「夜と霧」法では7000人が失踪し、1950年代に入ると朝鮮戦争やベトナム戦争、フィリピン内戦でどれほどの人が失踪したかわからないほどです。
チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビア、ブラジルなどでは親米反共独裁政権によって6万人以上が犠牲になったと言われ、南アフリカのアパルトヘイトでは2000人以上、旧ユーゴスラビア紛争では4万人以上の失踪者が出ています。
また近年、イラクでは失踪者が25万とも100万とも言われ、メキシコでは2006年以降、麻薬戦争による失踪者が8万6000人も発生しています。
▽「行方不明」と「失踪」の違い
日本では毎年8~9万人の「行方不明者」が発生していますが、これは「失踪者」も含めた数字で、厳密に言えば「行方不明」と「失踪」は違います。
「行方不明」とは文字通りどこに行ったか、どこにいるのかわからない場合で、事故や災害が原因の所在不明状態を差します。
「失踪」は本人の書置きがあったり、以前から悩んでいる様子があった場合で、法的な区別はないため、統計上は「行方不明」とされるようです。
■最後に
北朝鮮による拉致被害者の帰国は明るい道筋が見えないまま年月だけが過ぎて行きます。
もちろん、北朝鮮は強制失踪条約には見向きもしません。
2020年に外務省が公表した署名国、締約国のリストに中国、ロシア、アメリカ、イギリスの名前はなく、アジアの締約国も6か国しかありませんでした。
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