「11月30日 絵本の日」
■はじめに
2022年9月、絵本「ぐりとぐら」で知られる絵本作家、山脇百合子さんが80歳で亡くなりました。
1963年に発表された「ぐりとぐら」シリーズは世界13か国で出版され、シリーズ関連書籍は2150万部に達しています。
幼い子どもたちに2150通りの思い出を残したことになりますね。
目 次
絵本の日とは
1985(昭和60)年11月30日、日本の「絵本」についての基本的な考え方を表した書籍「絵本論」が福音館書店から出版されました。
著者は作家・評論家の瀬田貞二氏(1916~1979)で、「ナルニア国物語」「ロード・オブ・ザ・リング」の翻訳者としても知られていますね。
11月30日が「絵本の日」なのは「絵本論」の出版を記念したもので、福岡市にある民間図書館「Biblio」が制定しました。
■絵本の日の意味と由来
少子化や電子コミックの台頭などによって、紙の出版はマイナス成長が止まりません。
そんな中で絵本市場だけは、この10年の売り上げが299億円から353億円へと堅調な伸びを見せています。
これはかつて自分が親しんだ絵本をわが子にも楽しんでもらおうと、親が買い与えているためで、絵本にロングセラーが多いのはこうした事情もありそうです。
また祖父母からのプレゼントといった形の需要も多く、絵本は世代をつなぐ貴重なコミュニケーションツールですね。
■絵本の日のイベント
Biblioは毎年、「絵本の日」に合わせて、「あなたと絵本のエピソード」を募集しています。
また毎秋、文芸社は「えほん大賞」という絵本の原作を募集するイベントを開催しています。
絵本部門、ストーリー部門の各大賞作品は書籍化され、出版されるそうです。
絵本の日の雑学
▽赤ちゃんに絵本をプレゼントする「ブックスタート」
すべての子どもたちに絵本を読む幸せを提供する「ブックスタート」運動は1992年、英バーミンガム市の事業として始まりました。
「ブックスタート」は実施する自治体で生まれたすべての赤ちゃんに絵本をプレゼントすることで、赤ちゃんと保護者が絵本を通じて心を通わせる役目を担っています。
この事業が日本に紹介されたのは2000年の「子ども読書年」で、翌年の4月、全国の12市町村が新規事業として「ブックスタート」を始め、今では全国1424の自治体中、1099もの自治体が参加しています。
▽絵本のデジタル化は進んでいない?
書籍のデジタル化は急ですが、絵本のデジタル化はほとんど進んでいませんね。
デジタル化による利便性向上はたしかにありますが、一方で本のサイズや紙質などの制限もあって一長一短です。
タブレット端末に抵抗のある大人は多く、「ぐりとぐら」で知られる福音館書店も絵本をデジタル化する決断には至っていないようです。
そもそも絵本は大人が読み聞かせるもので、ストーリーやキャラクターについての会話を通じて子どもが言葉を覚え、また情操教育にもなっています。
紙の本がタブレットに変わるだけとも言えますが、まだまだ「紙の絵本」に対する大人世代の思い入れは強いようで、調査によれば90%以上の親が「子どもの読書はデジタルより紙の本」と回答しています。
しかし、読み聞かせるという点については大きな不安が明確になりつつあります。
夫婦共働きで絵本を読み聞かせる余裕のない家庭が増えており、そのためタブレット端末相手にひとりで過ごす子どもも増えています。
となれば「紙の絵本」にこだわらず、デジタルの利点を最大限に利用して、単語を外国語に変換したり、読み上げ機能やキャラクターや物語の説明など、簡単なキータッチでより多彩な楽しみ方が享受できる方向へシフトしてもいいと思えますね。
■最後に
幼い子どもへのクリスマスプレゼントは「絵本でなければならない」と思い込んでいるのが我が家のおばあさん。
孫は4人、最年長の男の子はもう図鑑へ転向しましたが、あと3人はもうしばらく絵本のお世話になりそうで、「本は手に取って選ぶもの」という信念を持つおばあさんの書店通いもあと数年は続きそうです。
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